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株式日記と経済展望:銀行は公募増資で自己資本を増強せよ 頭取は投資家に頭を下げてお願いしろ
投稿者 あっしら 日時 2003 年 1 月 22 日 15:24:41:


2003年1月22日 水曜日

竹中経済財政・金融相は21日の閣議後の記者会見で、みずほフィナンシャルグループが1兆円規模を目標とした増資を計画するなど大手各行で資本増強の動きが出ていることについて、「一般論として、金融再生プログラム(不良債権処理の加速策)がいろいろな形でインパクトを持ちつつあるという点で評価できる」と述べた。その一方、銀行の経営改革の成果については「戦略性や健全性などの観点からしっかり見ていきたい。何より結果を出してほしい」と銀行側に注文をつけた。
(読売新聞) [1月21日19時58分更新]

地域銀行の不振は地元企業や自治体にとって他人事ではない。だから地域銀行の増資に無関心というわけにはいかない。その銀行から融資を受けていれば余計そうである。しかし、そうした心理を見透かし有形無形の圧力を背景に行われる増資は、決して質の良い増資とは云えない。 ここ数年、地元経済界などの協力を前提とした地域銀行の資本増強が度々行われてきた。そして今現在も行われている。しかし、資本不足に困窮しているのは銀行だけではない。増資を要請される企業とて同じだ。そうした企業を引受け手とする増資はそろそろ限界に来ているようにも見える。

昨年10月、一部の著名経済学者達7名が金融システム再生へ向けて緊急提言を行った。そこには「資本不足に陥った銀行は市場から資本調達を行うことを義務付ける」「自力でそれが出来なければ一時国有化する」等が提言されている。提言者によれば「増資の可否を問うことで市場の信認を受けていない銀行の現状を浮き彫りにする」のが狙いのようだが、地域銀行の第三者割当増資は市場での資本調達とは対極に位置する。 足利銀行が市場での公募増資を目論んだとしたらどういう結果が出ただろうか。私の勝手な推測に過ぎないが、おそらく増資に応募する人や企業は少ないと思う。今のような状況で誰が応募するのかという問題に直面する筈だ。
(メルマガ 中小企業と銀行取引より)

日本企業の一番の問題点は株主総会が骨抜きになり、株主の経営者に対するチェックが効かない事だ。それは銀行と企業とが株式を持ち合い、お互いの大株主になることによる、もたれ合いの経営が行われていた。そして既存株主を無視した安易な増資を行い、特に個人株主の利益は踏みにじられて来た。バブルの頃行われた銀行の公募増資も限りなく第三者割り当てに近いものでった。

それでも一般企業は国内や海外で経営努力をしていかなければ脱落してゆく。銀行には頭を下げて融資のお願いをして、業績が悪ければ銀行からリストラのアドバイスを受け、企業のトップはそれだけの能力を要求される。ところが銀行のトップは、護送船団の保護された状態で、なんらの企業努力も必要が無かった。平の行員に預金集めの号令を掛けていればそれで済んだ。借り手はいくらでもいた。

つまり銀行の頭取とは誰でも務まり、高給が保証されていた。株主総会も機能せず、経営努力は無縁であり、ただMOF担に大蔵省の意向を伺っていれば済んだ。ところが護送船団方式が崩れだし、不良債権問題で銀行経営が揺らぎだすと、銀行の頭取達は対策を何一つ打つことが出来ないほど能力は劣化していた。だから米国政府やハゲタカ達にとって見れば、日本の銀行を陥れるのは、日本政府や大蔵省に工作を仕掛ければ容易なことだった。

普通ならばBIS規制で自己資本の増強を迫られた時点で、資産を処分しリストラを断行し、公募増資をしていれば何の問題も無かった。バブル前のことだからやろうと思えば出来たはずだ。しかし、そんなことをしようとすれば狂人扱いされただろう。銀行経営は横並びが鉄則であり、金融当局が銀行独自の経営も許すはず無かった。銀行経営が危機に直面した場合、リストラを断行し、頭取自ら世界を回って投資家に頭を下げて、増資に応じてもらうように努力するのが常識だ。ところが日本の銀行経営者は人に頭を下げたことが無い。

みずほHDの前田社長は1兆円の増資を成功させることが出来るのだろうか。おそらくUFJや三井住友のように外資から出資を得るのだろう。しかも交渉能力も無いから条件は足元を見られた形になるだろう。日本の銀行経営者がシビアに経営能力を見られることは今まで無かった。経営体質は限りなくお役所に近く、出世するには学歴、年功、派閥がものをいった。

このようにしてみれば日本の金融危機の責任は銀行よりも、大蔵や日銀の護送船団行政に責任がある。金利の自由化や経営の自由化は名ばかりのもので、横並び経営はいまだに続いている。合併してメガバンクになることすら横並びだ。有能な銀行経営者だったら、単独でリストラをして資本の充実を図って経営を立て直したはずだ。合併して大型化したことにより、かえって身動きがとれずに再建が遅れる結果になっている。


誰が(増資)に応ずるか(銀行の第三者割当増資)http://www.melma.com/mag/13/m00054213/a00000016.html

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