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東京 1月22日(ブルームバーグ):日本銀行は22日開いた政策委員会・金融政策決定会合で、「当座預金残高目標が15−20兆円になるよう金融市場調節を行う」とした金融調節方針を据え置くことを全員一致で決定した。と発表した。1月の金融経済月報は23日午後2時に、議事要旨は2月19日に公表される。
今回は無風に終わった決定会合だが、次回2月13、14日の決定会合は追加緩和を求める圧力が一段と強まる可能性がある。理由はいくつかあるが、まずはその日程だ。2月1日にパリで開かれる予定だった7カ国財務相・中央銀行総裁会議 (G7)は同月21、22日に延期になった。国際会議の前に日銀に政府の追加緩和圧力が強まるのはこれまでの常だ。
追加緩和の有無を占う最大のカギはもちろん株価だ。みずほフィナンシャルグループは22日、1兆円の資本増強を柱とする経営改善策を発表した。三井住友銀行やUFJなど大手行が相次いで経営改善策を打ち出しており、銀行株もそれを好感して買われてきた。しかし、その一方で不安材料なのが、大手行による保有株放出の動きの加速だ。みずほは今年度下期に1兆円超、1−3月だけで約7000億円の保有株を売却する計画を明らかにしている。
株買い取り額の拡大を求める動きも
年度末にかけて銀行、企業の持ち合い株解消の動きが需給面から株価の下押し圧力になるのは必至だ。日銀は昨年2月の決定会合で、政府の総合デフレ対策と歩調を合わせるように追加緩和を実施。「10−15兆円」という当預目標は据え置いたが、「当面、年度末に向けて金融市場の安定確保に万全を期すため、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う」となお書きを書き換えるとともに、長期国債買い入れ額を月8000億円から1兆円に引き上げた。
谷口隆義財務副大臣は12月の決定会合で、国債買い入れ額を月2兆円に増額するよう提案を出しており、今後も同様の要請を行う公算が大きい。ただ、日銀が当預目標や長期国債買入額を多少増やしたところで、株価に何の影響もないのはこれまでの経験が示している。2月、あるいは3月の決定会合前に株価が大きく下押す場面が出てくれば、日銀は量的緩和の拡大だけでなく、銀行保有株の買取額を拡大せよ、という声が強まる可能性もある。
日銀は昨年秋、2004年9月末までに総額2兆円の銀行保有株を買い取ることを決定した。日銀は、銀行保有株の買い取りは金融システム対策であり、金融政策ではない、と説明しているが、株価が大きく下げれば、金融システム対策として買取額を拡大せよ、という声に抗するのは難しくなる。竹中平蔵経済財政・金融担当相をはじめ、日銀に指数連動型上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)の購入を求める声も一部に出ており、注目点の1つだ。
トーンダウンする政府要人の発言
一方、3月19日に任期満了となる日銀総裁の後任と絡んで、インフレターゲット導入をめぐる議論が白熱している。しかし、政府要人の発言は、17日の塩川正十郎財務相の会見あたりから確実にトーンダウンしている。速水総裁の後任はインフレ目標の導入に柔軟な人物が良いのかと問われ、財務相は「そう言うことに拘泥されていないと思う」と発言。福田康夫官房長も21日の会見で「今、政府としてそういうことを設けてやろうということはない」と述べた。
小泉純一郎首相は同日夜、記者団に対し、宮沢喜一元首相とインフレターゲットなどについて意見交換し、インフレの弊害について助言を受けたことを明らかにするとともに、インフレターゲット導入に慎重な姿勢を示した。政府要人が発言をトーンダウンさせている背景として考えられるのは2つある。1つは、次期日銀総裁候補として意中の人物との間で、デフレ克服に向けて全面協力するという「あうん」の呼吸が成立した可能性。
もう1つは、仮にインフレターゲットを導入し、ある一定の時期までにプラスのインフレ率を実現するためには、金融政策だけではなく、財政政策の発動も避けられない、という理解が浸透しつつあることだ。マネーの役割を重視するマネタリスト的な発言を繰り返してきた中原伸之前日銀審議委員ですら、「金融政策と同時に、財政による有効需要喚起策も必要になる」(20日付の朝日新聞朝刊)と述べていることは、その1つの証左だろう。
インフレ目標が政争の具に
インフレターゲットを導入しても、それを実現するために財政政策の発動が不可避だとすれば、インフレターゲット導入は政争の具になる可能性がある。現に、自民党の古賀誠前幹事長や麻生太郎政調会長、平沼赳夫経済産業相などが20日会談し、デフレ克服は「金融政策だけでなく財政政策や産業の再生や育成を総合的に行うべき」(平沼経産相が21日会見で)との認識で一致した。
小泉政権のなかで、来年度予算を審議する国会開催中に「インフレターゲット=財政支出の拡大が必至」という構図が強まるのは決して得策ではない、という判断が働いても不思議はないだろう。日銀に対して、これまで以上に金融緩和圧力が加わることは間違いないが、少なくともインフレターゲットについては、ひとまず沈静化する方向にあるようだ。
東京 日高 正裕 Masahiro Hidaka