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UBSウォ−バ−グ証券会社・経済調査部チ−フエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「産業再生を考える 」を挙げる。
<不採算店舗・事業の削減は、新たなデフレ圧力を生む> 過剰供給問題を抱える流通業や建設業の一角で企業再生の動きがみられている。 しかし、「こうした動きは、依然として、日本経済の再生を連想させるには力不足」との見方を示す。 現下の企業再生に欠けているものは何であろうか。その一番大きなものは、「業務転換に関する発想の欠如」と指摘する。経営不振企業は、不採算店舗の閉鎖、あるいは不採算事業の切り離しを模索しているが、こうした措置は、短期的、またミク ロ・ベースでは企業収益改善効果を有するにせよ、中長期的、そしてマクロ・ベースでみた場合には、景気刺激効果は全くない。供給過剰の是正が物価下押し圧力を一旦減殺しても、「不採算店舗・事業の削減による縮小均衡圧力(雇用市場の縮小)によって経済の総需要が抑制され、新たなデフレ圧力が生まれてしまう」からである。
<経済政策の課題は、サービス業拡大に集約> 企業再生には、「大胆な業種転換の発想がどうしても必要である」と言う。閉鎖され、切り離される不採算事業に替わる新たな事業を見つけられない限り、日本経済の再生はないであろう。産業再生機構の設立も日本経済の再生をもたらさない可能性が 高いが、それは、同機構には「新規事業を育成する、ないしは探し出す」役割が期待されていないからである。同機構の役目は「採算事業と不採算事業を峻別する」までであって、その先の展望に対する責任は負わされていない。 産業構造転換は、「流通・建設・製造業からサービス業へ」という流れにならざるを得ない。政府の経済政策における課題は、如何にして、サービス業の拡大を図るか、に集約される。サービス業の柱は、情報・通信、医療、観光事業であるとみられるが、「政府には、これら業種の拡大に繋がるような、都市計画、公共投資計画の策定が望まれる」と言う。
<産業構造転換にはっきりと軸足を移すべき> もう一歩踏み込んだ金融緩和による円安誘導が、現下の政策目標となっていることは紛れもない事実である。そして、米国との成長率格差の存在や日本の財政破綻確率の上昇、からすれば、「実際に、円相場には緩やかな下落圧力がかかる」と読むべきだと言う。しかし、先進諸国が広くデフレに直面し、緩和的な金融政策を中長期的に維持しなくてはならない状況下、日本政府が、円の趨勢的な下落を長期に亘って演出できる可能性は高くない。日本にとって必要なことは、持続的な効果を疑問視せざるを得ない安易な金融緩和に頼るのではなく、「産業構造転換にはっきりと軸足を移すことである」。しかし、残念ながら、現実の動きはその逆だとして、「日本経済の再生に期待するのはまだ早い」と見ている。