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「無知を恐れるなかれ。偽りの知識を恐れよ」(パスカル/フランスの思想家1623〜1662)
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21世紀の日本の目標は「平和と安定」である――森田実
まず、キャロル・グラッツ教授(コロンビア大学・歴史学)の「これが2003年のニッポンすごろく」。最後のところでこう述べている―― 「日本はどこへ向かっているのか。どこへ行きたいのか。明治時代なら答えは富国強兵、戦時中は八紘一宇、戦後は平和と繁栄だった。今はなんだろう。国民は景気と政府に不満をつのらせているが、答えは見つからない。だからすごろくよろしく、国民は新年のサイの目に期待をかけるだけだ。となると、少なくとも2003年のあり方は、『さして変わり映えしない』でまちがいない。」
上記の引用文のうち「今は何だろう。……答えは見つからない」の部分は、現在の日本と今後の日本の動き方をめぐって、専門家の見方が混乱していることを示すものである。しかし「答えは見つからない」と言い切るのは言い過ぎである。われわれ日本人にはきちんとした方向はある。それは「平和と安定」である。繁栄の条件は失われたが「安定」を実現することは可能だ。
今の日本の政治と経済はアメリカの影響を強く受け過ぎている。「平和」を「戦争」に変えようとの試みがあるが、これはとんでもない過ちだ。「安定」ではなく「繁栄」を求める者は依然として少なくないが、これも過ちである。日本は「戦後の平和と繁栄」の路線を修正し「平和と安定」の路線を進むべきである。
この意味で、2001年4月に自民党が小泉純一郎氏を総裁に選び、国会が内閣総理大臣に指名したのは大きな過ちだった。小泉首相はアメリカ型グローバルスタンダードを日本に性急に導入しようとして、日本経済を深刻な混乱状態に陥れた。
多数の国民が小泉首相に過大な期待を抱き、小泉首相に強い指導力を与えたことも、大きな過ちだった。この過ちは大いなる錯覚から生まれた。国民的錯覚は、マスコミの小泉首相に対する過大評価と過剰報道によってつくられた。その上強大なブッシュ政権の小泉政権支持が過ちを拡大し長期化させている。小泉政権は日本の国益を犠牲にして、ブッシュ政権に過度に協力することによってブッシュ大統領の支持を得たのである。
日本は「平和と安定」の道を着実に進むのが最善の道である。小泉首相はワイドショー政治の主役になって高人気を得たが、しかし、人気取りを自己目的化している小泉政治は危険である。これは一種の功名争いだ。権力をもつ政治指導者の功名争いは百害あって一利なしである。
日本はブッシュ政権の戦争政策とは一線を画して「平和路線」を貫くべきである。経済政策についても、アメリカ型グローバルスタンダードの導入はやめなければならない。日本は「安定と調和」をめざすべきである。
日本は中国を大切なパートナーと位置づけ友好関係強化に努めるべきである――森田実
次はファリード・ザカリア(ニューズウィーク国際版編集長)の中国論。ザカリア氏は「ポスト9.11時代」の勝者と敗者を分類する。
敗者=サダム・フセイン、サウジアラビア、ムバラク、アラファト、アルカイダ。
勝者=イスラエル、インド、ロシア。
「だが多くの意味で、同時多発テロによって最も利益を得たのは中国だといえる。テロのおかげで中国は、アメリカの『敵国リスト』からはずされることになった。」「アメリカの変節に乗じて、中国は経済成長という最大の目的に力を注いでいる」
日本はアジアにおける政治・経済面の主導権を失った。代わって、主導権を握ったのは中国である。この冷厳な事実を日本は素直に認めなければならない。この事実は世界が認めている。米国も知っている。とくに米国の政治経済の主導権を握ったユダヤ系指導層は、中国がアジアにおけるアメリカの第一のパートナーだと考えている。日本には無関心にすらなっている。アメリカ国内に芽ばえ、成長しつつある日本軽視の傾向は改めてもらわなければならないが、この現実は事実として認めなければならない。
現実を認めた上で、日本は中国との関係を真面目に考えなければならない。日本国民のなかの一部に中国を敵視しようと考えているものがいるが、これなど一種の狂気である。日本は中国をパートナーと考えるべきである。この上で、中国との共存共栄をめざすべきである。
小泉首相は靖国神社公式参拝によって中国と韓国の信頼を失った。これほどの政治的愚行は歴史上例がないほどだ。とりわけ、北朝鮮の瀬戸際政策をおさえるため周辺国が協力すべき時に、中国、韓国両国国民の神経を逆撫でするがごとき小泉首相の暴走は許しがたいことだ。猛省を促したい。