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「経験は最良の教師である。ただし、授業料が高すぎる」(カーライル/イギリスの思想家・1795〜1881)
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小泉構造改革は失敗した。日本国民はこのことに気づき始めた。しかし、その授業料は国民にとって耐えがたいほど高いものとなった。企業倒産と失業率と犯罪は激増。日本国民は小泉首相に騙されたのである。
2001年4月に登場した小泉内閣による小泉構造改革の推進は、日本国民の上に、はかり知れないほどの不幸をもたらした。2001年5月、小泉首相は初めての国会演説を行い、小泉構造改革の具体的プランを打ち出した。第一は不良債権処理、第二は財政再建、第三は特殊法人改革、だった。
小泉内閣発足から1年9カ月が経過した。この間の経過は小泉構造改革がみじめな失敗に終わったことを示している。第一の不良再建処理は、減るどころか逆に増えてしまった。明白な失敗である。第二の財政再建も失敗した。小泉構造改革の最大の目玉だった「国債発行枠30兆円」は小泉首相のかけ声だけで終わり、一度も守られなかった。それどころか財政は一層悪化し、2003年度当初予算では、国債発行額は30兆円を約20%も突破した。これも失敗。第三の特殊法人改革は今のところ道なかばであるが、今までのところ大騒ぎしただけで、実態はほとんど変わっていない。道路のことは、結局、扇国土交通大臣に丸投げしてしまった。
小泉首相が無責任で無内容なワイドショー政治をつづけている間に日本経済は一層悪化した。企業倒産は増加、失業率は上昇。株価は下降をつづけている。この間、小泉政権は不況を促進させる政策をとりつづけてきた。今も変えていない。日本経済は小泉内閣の破壊的政策によって縮小過程を進んできたのである。
その上、2002年秋、さらに悪いことが起きた。小泉首相は2002年9月12日の日米首脳会談においてブッシュ大統領に対して「不良債権処理の加速化」を約束した。これを実行するため、堅実な金融政策を守ってきた柳沢金融相を更迭し、アメリカ一辺倒の破壊主義者・竹中平蔵経財相に金融相を兼任させた。小泉首相は竹中氏に経済・財政・金融政策を丸投げしたのである。この結果、小泉内閣対メガバンクの深刻な対立が起きた。小泉内閣のバックにいるのはブッシュ政権、さらにその背後に巨大な米金融資本がいる。米金融資本は日本の金融を握り、それを通じて日本経済の支配を狙っている。この狙いは、ブッシュ政権が小泉政権を手下化することによって急速に具体化している。これが竹中金融相による日本メガバンクの国有化構想であり、そのための政府による強引な自己資本比率の下落の措置である。
国有化を嫌う日本のメガバンクは、小泉内閣に抵抗しはじめた。「のたうちまわっている」との表現の方が正確かもしれない。融資先からの資金の引き上げ、いわゆる貸し剥がしである。これにより企業の倒産と廃業は急増している。
2003年1月から金融庁は銀行に対する特別査察を行う。この特別査察によって多くの企業が潰されるおそれが高まっている。民間企業が国家権力の手で整理されるのである。また、民間企業であるはずの銀行も企業も国家統制のもとにおかれている。日本はいつの間にか国家資本主義あるいは国家社会主義と呼んでよい体制になってしまった。自由化革命の叫びの裏で実現されたのが「銀行と企業の国家統制」なのである。
日本の銀行と企業への「国家統制」を真正面から取り上げた『週刊エコノミスト』(1月14日号)は一読する価値があると思う。
ただし、この「特集」のなかで議論されていない問題がある。それは小泉政権による銀行と企業への国家統制は、日本の金融と企業をアメリカ巨大金融資本の支配下におくための第一歩にすぎないということである。小泉政権は、日本の政治と経済を米政権の支配下におこうとするブッシュ政権に従属している政権である。いま日本で進行していることの本質を見失ってはならない。アメリカ巨大金融資本の狙いとそれとの関連におけるブッシュ政権の対日政策、小泉政権の従米主義――これらの問題がより深く議論される必要がある。