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2003年1月11日 週間ダイヤモンド p.23
黄門さまがインフレ政策に反対しているのをご存知だろうか。現在放映中の「水戸黄門・第三一部」は貨幣改鋳が隠しテーマになっている。第一回目は、勘定奉行荻原重秀の貨幣改鋳の企てを黄門さまが察知し、江戸に出向いて五代将軍綱吉の面前で荻原を叱責する。「いかに財政が苦しいからとて、貨幣の金銀を減らせばよいなどと決して考えてはならぬ。たった一文を心の支えとして、毎日を大切に生きている大勢の庶民がいる。そのまつりごと心を忘れて政は行なえぬことを知るがよい一・」(ここで秋原は、はは1っ、と引き下がり、改鋳は延期となる)。
水戸光囲が改鋳に反対したのが史実か否かは不明だが、四代将軍家綱の時代に、改鋳案をよこしま邪な政策と激しく批判して却下させた土屋数直という清廉な老中がいた。土屋のような財政モラルが、光圏の世代に残存していたとしてもさほど不自然さはないだろう。
ちなみに、荻原重秀は財政困窮を背景にして1695年〜98年についにタブーを破り、現実に元禄改鋳を実施する。この第一回目の改鋳にはまだ節度があり、マネーサプライ管理において評価すべき点もあるのだが、タブーは一度破られると歯止めがきかなくなる。15年後に荻原が再び行なった宝永改鋳で物価は急騰し、荻原に対しては「天地開閣以来の悪人」(新井白石)という酷評が後世にまで定.着することになる。改鋳にかかわっていながら、現代の時代劇で評判がいいのは大町越前(忠相)ぐらいのものだろう。