現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産19 > 387.html ★阿修羅♪ |
|
「今さらこんなことを言っても仕方のないことだが、そもそも自己資本比率規制−つまり“BIS規制”とは、銀行の健全性を示す基準、指標を巡る取り決めではなかったはずだ。その意味するところは、特に国際業務を行う銀行に関して、融資等の与信については自己資本の12.5倍を上限とする、という国際ルールだったはずだ。金融庁を筆頭に、このあたりの原理・原則を忘れてしまっている−」
メガバンク役員がこう自説を主張してみせる。
ここで改めて説明するまでもないと思うが、このコメントに登場する“自己資本比率規制”とは、国際業務を行う銀行に関しては自己資本比率8%以上、国内専業銀行については自己資本比率4%以上、それぞれこうした水準を維持することが義務付けられたルールのことを指す。そして自己資本比率自体は、「自己資本÷リスクアセット(融資等の与信)」という数式で求められる。
つまり自己資本比率8%とは、自己資本の12.5倍(100分の8の逆数)のリスクアセットということを意味し、自己資本比率8%以上を維持するということは自己資本の12.5倍以下にリスクアセットを抑制する、という状況を指す。
「なぜこうした“国際ルール”が導入されたのかというと、このルールが導入された1988年当時、外銀と比較して圧倒的に自己資本の小さい邦銀が、国際金融マーケットをまさに席巻していたからです。その邦銀の動きを抑制するために導入されたルールなのです」(前述のメガバンク役員)
つまりこの“自己資本比率規制”とは、まさに邦銀をターゲットにすえたものと考えていいだろう。
88年当時、日本はまさにバブル経済の真っただ中にあった。国内の金融マーケットは、今とは正反対に過剰流動性の頂点に達しつつあり、大手銀行はそのハケ口を海外の金融マーケットに求めたのである。そしてこうした邦銀の行動によって、国際金融マーケットは少なからぬ影響を受けたのだ。
その邦銀の動きに何らかのブレーキをかけるために導入されたのが、自己資本比率規制なのだ。
「そうした一連の事情を竹中平蔵経財・金融相以下、金融庁のスタッフはまったく理解していないのではないか。つまり自己資本比率が高ければ高いほど、健全な銀行という認識はまったくの誤りなのだ。そうでなければ、公的資金の再々投入論議など出てくるハズもない。逆に、自己資本が一定水準をこえて高い銀行は、効率的に資産を運用していないということを意味するのだ」(前述のメガバンク役員)
別のメガバンクトップが言う。
「そうした指摘にまったく賛成だ。自己資本比率を上げるということが、リスクアセット−つまり貸出を抑制することになるということを、竹中大臣はまったく気が付いていない。貸し渋りの元凶は、理不尽に厳し過ぎる銀行検査と竹中大臣の無知、無理解だと言えよう」
“外資”から1500億円にものぼる自己資本を調達する三井住友フィナンシャルグループのみならず、ここへきてメガバンク各行は、自己資本の増強に乗り出しつつある。
「金融庁のプレッシャーもあって無理矢理にでも自己資本増強に動かざるをえないが、結局、われわれにとって単に負担が増大する行為でしかないのではないか」(メガバンクトップ)
さて、こうした指摘に対して、竹中大臣はどのように答えるのだろうか。
2003/1/17