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ニューヨーク 1月14日(ブルームバーグ):米国の投資信託保有者たちに心の準備をお願いしたい。これから「ドル安の影響」を論じた運用報告書がどっさりと送られてくるからだ。
報告書は、ドルの対円、対ユーロでの下落は米国に対する信頼喪失の前兆だとか、海外投資家が近い将来に資金を米国から引き揚げるだろうとか、一貫して否定的な見解を長々と論じてくることだろう。嘆かわしい。低迷長引く株式相場はもっと問題を抱えているというのに。
暗いという言葉は、専門家の世界共通語だ。ニューヨークの単調な冬の空に突然、うららかな風が吹くと、気象予報士は決まって「この天気は長くは続かないでしょう。解ける氷や雪に注意してください」と言う。為替相場のアナリストもこうした流儀を几帳面に踏襲しているのか、1年前に1ユーロ=0.86 ドルだったドルの対ユーロ相場がここにきて1.05ドルに下落したのをみて、彼らは輸入物価上昇や米国民の消費鈍化を警告しようとしている。
国際分散
一方で、ドル安が米国製品の競争力を高め、米企業の海外収益を押し上げる点に関しては、報告書の後半でしか言及していない。多国籍企業の利益に対する為替相場の影響は今や二の次にされている。ドル高が企業業績に打撃を与えていた時には、多くの専門家がドル高の影響を真っ先に嘆いていたのではなかったか。
それに、昨今の投資先は世界の市場に広がっているはずだ。米債券投信最大手の米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の運用担当者、ビル・グロス氏が言うように、ドル安は「米国のデフレを抑制し」、世界の経済成長にとってはむしろ良いことかもしれない。
長期投資目的で投信を保有する個人投資家に向けられた為替相場に関するこうした論評でもう一つ問題なのは、長期的というよりも短期的な思考を投資家に促しかねない点だ。為替相場の風向きが変わるごとに投資内容を見直していれば、ほかの大切なことにかける時間がなくなってしまう。
影響力
もちろんわたしは、為替相場は重要でないとか、完全に無視すべきだと主張しているわけではないし、すべての投資家に影響が及ぶことは理解している。先日ブルームバーグ端末で調べたところ、S&P500種株価指数の20%下落は、ユーロ圏の投資家の投資家にとっては、ドル安の影響を加味すると32%の損失となった。一方、アジア太平洋地域の株式で運用される投信を購入した米国の投資家にとっては、為替変動などの影響により損失は縮小していた。
そこで投資家にはこう警告したい。国際分散投資する投信には為替リスクをヘッジしたものとそうでないものがあることを認識し、ドル安を当て込んでこうした投信の購入を考えるなら、まず為替相場に対する運用方針を研究することだ。
ただ、為替相場に関する分析を単純化すれば、賢明な行動が難しくなるということは言っておきたい。こうした問題は切り離して議論すれば簡単かもしれないが、長期的な投資計画に個別に当てはめることは不可能だ。
だから、わたしは投資を見直す際には為替相場に関心を払うけれども、ドルが下落するたびに耳にする嘆きの歌には、あまり気をもまないようにするつもりだ。(チェット・カリアー)
(カリアー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です))
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