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ドイツ経済が低成長の泥沼から抜け出せない。成長率は93年以降、欧州連合(EU)平均を連続して下回り、縮む内需をかろうじて輸出で補っている状況だ。抜本的改革の必要性が叫ばれて久しいが、政治的な困難が改革を阻んでいるのは、日本と同じ。ドイツの苦悩は、デフレ圧力が強まる世界経済の一断面を示しており、近くパリで開かれる先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)でも世界デフレが討議の課題になりそうだ。【ロンドン福本容子】
◆欧州の疫病神
「ユーロに加盟したら、ドイツ経済みたいになってしまう」――。加盟論争が続く英国で、反ユーロ派が、最近しばしば引き合いに出すのが、“欧州の病人”呼ばわりされるようになったドイツだ。
モルガン・スタンレー証券の推計では、02年・のドイツの成長率はわずか0.1%。03年も「マイナス成長に転落する恐れもあり、良くても0.4%」(同証券エコノミスト、E・バーチ氏)と見通しは厳しい。
景気悪化による税収減や失業手当など社会保障支出の増加で昨年の財政赤字(国内総生産比)は3.8%で、ユーロ圏最悪。単一通貨創設で主導役を誇った欧州最大の経済は、今や劣等生扱いだ。
◆失業率10%と株安◆
バーチ氏は「ドイツの問題は景気循環によるものではなく、国内の構造問題が原因」と言い切る。その中核部分が経済の活力を奪っている雇用構造だ。
独政府が先週発表した雇用統計によると、昨年の失業者は422万5000人と約20万人増え、失業率も10.1%にはね上がった。高い失業率は、景気の悪化で突然発生したわけではない。手厚い失業者保護があるため、失業者の再就職意欲が削がれる一方で、企業の社会保障費負担を重くしている。1人新たに雇うことに伴う賃金以外の負担部分が大きいため企業は景気がいい時でも、雇用を極力増やさず、個人消費の構造的抑制要因になっている。
さらに、昨年の株価急落が金融システム不安につながっている。ドイツは日本と同様に、銀行が企業の株式を大量に保有しており、株価急落は、銀行の経営に大きな支障となる。
◆改革待ったなし◆
「ドイツが豊かさを享受し続けるには、まず我々が意識を変えなければならない。他人頼みの姿勢を止め、自己改革が必要だ」。シュレーダー首相は年末のテレビインタビューで、改革への理解を国民に呼びかけた。
ドイツ銀エコノミストのU・ベックマン氏は「雇用の新陳代謝が活発になるような労働市場改革、規制緩和、社会保障費負担軽減など、何をなすべきかはわかっている。問題は(政府内外の)抵抗が根強く実行が難しいということだ」と指摘する。デフレ圧力にどう対応するか。シュレーダー政権は今年、正念場を迎えそうだ。
[毎日新聞1月13日] ( 2003-01-13-23:14 )