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10日の日露首脳会談で、ロシアの東シベリアと極東沿海州を結ぶ極東石油パイプライン(太平洋ルート)計画の実現に向け協力していくことで一致したが、政府は、世界第2位の産油国であるロシアからの原油・天然ガスの安定供給態勢を実現し、石油の中東依存度を大幅に引き下げたい考えだ。東シベリア油田での石油開発権の確保も視野に入れている。
日本が必要な石油は、100%近くを海外から輸入しており、うち88%を中東諸国に依存している。日本は中東情勢の変化で調達価格高騰などの影響を受けやすく、平時でも欧米諸国より割高な価格(アジア・プレミアム)での原油取引に甘んじているのが実態だ。
中東依存度の引き下げは第1次石油危機以来、エネルギー政策上の課題になっているが、現実には、中東以外の地域からの供給はその後縮小。中東依存度は第1次石油危機当時の70%台から逆に上昇している。ぜい弱な石油供給構造の是正はエネルギー安全保障上、避けて通れない課題で、日本がその打開策として目を付けたのが、非中東・非OPEC(石油輸出国機構)の資源大国ロシアだった。
太平洋ルートは、日量100万バレルの原油を太平洋(日本海)側に輸送する計画で、仮に全量を日本が調達すれば、中東依存度は65%と、一気に23ポイント引き下げるほどの大きなインパクトがある。非中東の安定供給先を確保することで、「アジア・プレミアムの是正にも役立つ」(経済産業省)効果も見込める。
一方、パイプライン建設は、東シベリアでの油田開発権確保の布石としての意味もあり、同計画に対する日本企業の関心は高い。計画が実現すれば、政府は政府系金融機関の融資や貿易保険の活用で支援する方針だ。
ただロシアの極東パイプライン計画は、これ以外にも、供給先を中国に絞ったルートがあり、ロシア側は両ルートの経済性などを比較検討したうえで、最終的に建設計画を確定する方針とみられる。日本側は「東シベリア油田は開発余地が大きく、中長期的に見れば両ルートは競合しない」(経産省)として、太平洋ルートの建設実現を強く働きかけていく方針だ。
【三島健二】
[毎日新聞1月11日] ( 2003-01-11-23:11 )