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障害者が地域で生活するのを支援する二つの事業の補助金について、厚生労働省が先月、来年度から打ち切る決定をしていたことが分かった。同省は来年度予算の概算要求では拡充の方針を打ち出しており、突然の方針転換に都道府県や市町村は「寝耳に水」と猛反発。撤回を求める要望が相次いでいる。二つの事業は障害者自身が必要なサービスを選んで受ける支援費制度(4月開始予定)でも中核的な役割を果たすと期待されていたもので、同制度の運用にも影響しそうだ。
厚労省が補助金打ち切りを決めたのは、96年度から始まった「市町村障害者生活支援事業」「障害児(者)地域療育等支援事業」。地域で暮らす知的・身体障害者(児)が福祉サービスの利用援助や生活情報の提供などを行い、「療育」はコーディネーターなどと呼ばれる専門職員らが相談などを受けつける。現在は国が事業費の2分の1を補助している。
4月から支援費制度では障害者が必要なサービスを選ぶため、専門職員らのアドバイスは障害者の社会参加や自立を促すうえで一層重要になるとされる。厚労省も来年度には2事業を拡充する方針を示し、各自治体もそれに基づき予算編成を進めていた。
ところが、同省は先月中旬、突然、補助金を打ち切り、地方交付税で措置することを決め、同27日に正式通知した。同省は通知で「自治体が弾力的に事業展開できるようにした」と説明しているが、地方交付税は補助金と違って使途が限られていないうえ、来年度には減額も予想されている。このため、補助金打ち切りによって事業を実施しなかったり、途中で中止する自治体も出てくる恐れがある。
厚労省に撤回を求める要望書を提出した京都府は「補助を前提に事業推進を呼びかけながら、突然打ち切るのは承服しがたい。補助を前提に来年度予算を策定中の市町村もあり、大きな混乱が生じている」と話す。
厚労省障害保健福祉部企画課は「予算との兼ね合いで、年末まで省内で議論を続けていたため、打ち切りを都道府県側に示す機会が取れなかった。2事業とも都道府県や市町村の創意工夫で事業展開できるよう、引き続き指導していきたい」と釈明している。 【須山勉】
田中耕太郎・山口県立大社会福祉学部教授(社会保障論)の話 障害者の脱施設の流れができつつあるターニングポイントともいえる時期なのに、厚労省の決定は予算の数合わせの中での事業切り捨てとしか思えない。二つの事業は施設を作るよりずっと効率のよい施策で、在宅障害者支援の要だ。国の予算は現在も圧倒的に入所施設へ振り向けられており、削減できるカネは他にあるはずだ。