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WSJ-米ハイテク企業、現金還元しても大した配当利回りにならず
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米データベースソフト大手オラクル(Nasdaq:ORCL)のジェフリー・ヘンリー最高財務責任者(CFO)は今週7日、配当 課税が撤廃された場合、オラクルの取締役会は、これまで実施してこなかった配当を検討するだろう、と語った。この発言を受け、オラクルの株価はその日、6.1%上昇。市場は、あたかも1990年代に戻ったような雰囲気だった。
投資家は、無配当のハイテク企業が、いつの日か利益を株主に還元しはじめることを夢見てきた。ブッシュ大統領が今週発表した経済対策に、個人の配当所得に対する課税の撤廃が盛り込まれ、オラクルが配当を前向きに検討する姿勢を示したことから、この夢が現実化するとの期待が高まった。しかし、投資家のこうした期待は、行き過ぎの感がある。多額のフリーキャッシュフローを生んでいるオラクル、マイクロソフト(Nasdaq:MSFT)、シスコシステムズ(Nasdaq:CSCO)などとは異なり、平均的なハイテク企業は、配当を実施するだけの現金は有していない。多くのハイテク企業が、従業員にストックオプション(自社株購入権)を多く付与していることも、配当を難しくする。
また、配当を実施するのに十分な現金を保有するハイテク企業が、実際に配当を行った場合でも、配当利回りは、他の業種とくらべ、かなり低くなり、かえってハイテク株の割高感が際立つ結果を招きそうだ。
S&P500種指数の構成銘柄であるハイテク企業91社のうち、配当を支払っているのは23社のみ。ハイテク業種の配当利回りは、わずか0.28%と、S&P500種の業種の中で最 も低い。S&P500種全体の配当利回りは1.75%。ハイテク企業と同様、多額の研究開発費を支出しているヘルスケア業界でも、配当利回りは1.48%だ。
ハイテク企業が、利益を将来の投資に充てることをやめ、配当に回したとしても、ハイテク業界全体の配当利回りは、大して上昇しない。S&P500構成銘柄で、過去1年間でフリーキャッシュフローが黒字だったハイテク企業66社が、フリーキャッシュフローの半分を配当に回しても、配当利回りは0.58%に上がるのにすぎない。
事をより複雑にするのは、ストックオプションだ。多くのハイテク企業は、ストックオプション行使による希薄化の影響を相殺するため、自社株買いを実施している。
しかし、これまで自社株買いに充てていた現金を配当に回した場合、発行済み株式数は増え続けることになる。
また、配当を開始すれば、従業員がより多くのストックオプションを求めるようになるとみられる。これは、配当が増加すると、オプション価値は減少するといった理論に基づいている。配当は株価変動率を小さくし、オプション保有者が利益をあげる機会が減るためだ。
オラクルの場合、現金と短期投資の残高は50億ドルを超え、これまで株主に配当を行ったことはない。市場データ会社のマルテックスによると、オラクルは、過去4四半期で30億ドル近いフリーキャッシュフロー(1株当たりでは55セント)を生んでいる。
しかし、オラクルがフリーキャッシュフローの半分を配当に回した場合、配当利回りは2.1%と、市場平均をやや上回る程度にすぎない。オラクルが、55億ドルの保有現金を投資家に還元した場合、配当は1株約1ドルとなる。2004年5月期1株利益のアナリスト平均予想は現在46セントだが、現金を配当に回すと仮定すると、金利収入の減少で1株利益予想は44セントに低下する。オラクルが、2004年5月期の利益の40%(1株約18セント)を配当に回した場合、現在の株価である約13ドルで計算すると、配当利回りは約1.4%にすぎない。配当利回りが2.5−3%に達するには、オラクルの株価が6−7ドル程度に下落する必要がある。
(1月10日付のHeard On The Streetより)