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UBSウォ−バ−グ証券会社・経済調査部チ−フエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「新たな金融政策の枠組みについて」 を挙げる。
<政策面での対応は円安誘導とならざるを得ない> 財政破綻のリスクが高まる下で、「今後、日本の実質長期金利には上昇圧力がかかる可能性がある」と語る。市場が国内民間貯蓄の増大を求めるからである。しかし、政府は、長期金利の上昇=民間貯蓄の増加といった「縮小均衡」を受け入れないであろう、と見る。従って、「政策面での対応は円安誘導とならざるを得ない」。円安は海外から日本への貯蓄の移転を意味する。金利を上昇させて国内の貯蓄を増加させるのではなく、円安によって海外からの所得移転を受け、これで財政赤字のファイナンスに充てる、ということなのである。
<次期日銀総裁は「ベースマネー・ターゲットに積極的な人物> これまで日本の財務省は、一貫して、「先進国として、介入による露骨な円安政策は採り得ないが、マクロ政策の結果として為替相場が円安化することは国際的にも許容される」と主張している。同社では、こうした主張はほぼ額面どおりに 受取って良いだろうと考えている。 「過去をみると、日米のベースマネー伸び率格差と為替相場にはそれなりの相関がある」。すなわち、85年以降の3度の円高局面では、いずれにおいても、日米のベースマネー格差が縮小している。従って、政府・財務省による政策課題は、日銀に一定のベースマネーの伸び率を維持させ、円相場への上昇圧力を抑制することになる、と見ている。次期日銀総裁(副総裁)は「ベースマネー・ターゲットに積極的な人物が任命されることになる」と言う。
<ベースマネー・ターゲット採用の効果> このように、日銀の金融政策の中間目標としてベースマネーの前年比が採用されることになる可能性が高いとして、こうした政策変更が実際に採用された場合の効果を挙げる。具体的には以下(ほぼ原文通り)のようになるーー。
(1)ベースマネーの伸び率ターゲットは、日銀のバランスシートが一定のペースで拡大を続けることを意味する。現行の当座預金ターゲットの下では、日銀のバランスシートが期末や年末等に季節的に拡大する状況となっており、「季節性VS持続性」という意味で、大きな差が生じることになる。
(2)上記の「持続性」は市場の期待形成に大きな影響を与えることになる。市場は 、日銀が一定のペース(例えば毎年20兆円など)で流動性を増加させることを予想することができる。市場の流動性拡大に関する安心感が異なることになる。
(3)ベースマネー・ターゲットの下で、日銀は、本来その需要がコントローラブルではない銀行券の伸びにも影響を与えざるを得なくなる。銀行券需要が金利の関数であることからすれば、日銀はイールドカーブのフラット化の達成を迫られることになる。すなわち、ベースマネー・ターゲットの下で日銀は中長期国債の大量購入を余儀なくされる。そして、実際に、長期金利の一段の低下が生じる可能性が高い。
<円相場の下押しと長期金利低下を促す>
(4)このように、ベースマネー・ターゲットの反射的な効果は、@円相場に対する下押しと、A長期金利の低下、である。簡単に言えば、実質長期金利の低下効果である 。これは、理論的には、民間の投資活動を活発化させる。年前半にベースマネー ・ターゲットが実現すれば、来年にかけての投資需要の上ぶれを見込む必要が出てくる。