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社内会議のため、シンガポールに居る。週末は東京に戻り、来週はロンドンに行く。このレポートもシンガポールのホテルで書いている。
金価格は今や国際金融、株式市場でも最も注目されるテーマの一つになっている。金融、株式商品が全般的に不振のなかで唯一と言っていいほど値を上げているのが金であり、昨年1年のリターンは、通貨表示にもよるが平均30%前後は記録している。ダントツの上昇率と言っていい。マスコミはイラク、北朝鮮緊張に結び付けて金価格急騰を説明したがるが、ことはそれほど簡単ではない。米国経済、更に、日欧経済の脆弱な体質が、ペーパー資産から実物資産への回帰現象を生んでおり、金への回帰もその大きな流れの一部である。
'80年代は日本経済が黄金期を迎え、'90年代は米国経済が一人勝ちの時代となり、21世紀最初の10年はユーロの時代と期待されている。しかし、ドイツ経済の凋落は疑うべくもなく、ユーロ圏が世界経済の牽引車となるにはいまひとつ力不足と言わざるを得ない。グローバルに、これまでの経済体制が崩れて次の経済システムのモデルを模索している状況なのだ。そのなかでは、今までのシステムの故障、極端な場合には破綻が相次ぎ、これまでのシステムを前提に価値が決まっていたペーパー資産にも目減り、破綻が相次いでいる。
その流れのなかで、シンガポールに来て改めて感じるのは、ユーロと並んで次の世界経済の牽引車の一つになり得るのが中国である。
金市場でも21世紀初頭の需要をリードするのは中国であろう。上海金取引所も徐々に取引に習熟しつつあり、一昨日も取引所の関係者が今後、外資にも門戸を開く可能性に言及している。
このように見てくると、今、金が注目されているのは、実物資産からの回帰現象に加え中国への流れにも乗っているからと言える。イラク、北朝鮮の問題は、こう言ってはなんだが、金市場の材料としては一過性と思う。今の金価格は(今日も354ドル台であるが)20〜30ドル程度の戦争プレミアムを含んでいると理解すべきだろう。戦争プレミアムは、戦争が始まれば材料出尽くしで折り込まれる。
それより、今週注目すべきは、ブッシュ大統領が発表した10年間で80兆円に上る経済刺激策である。株式配当への課税撤廃など盛り沢山だが、問題はその財源である。既に双子の赤字を抱える米国経済にとって、今回の政策は財政赤字を市場最悪のレベルに膨らませる可能性が早くも指摘されている。国際金融市場が同政策に対していまいち反応薄である理由がそこにある。金価格も同政策発表後、米株が一時的に戻したこともあり345ドルまで反落したが、昨晩NYでは再び354ドルまで急騰した。
ただし、当面のアジアの現物金需要は弱い。要は、価格急騰のスピードについてこれず、買いのタイミングを失っている。330ドル前後まで下がればやれやれと買いを入れてくるだろうが、350ドル台ではまだ手が出ない。一方、NY先物市場の取引残は185トンの買い超過という歴史的に見ても高い水準にある。先物主導の上げなのだ。今後の展開も、先物の利益確定売りの後で現物の買いフォローする形になりそうというのが、シンガポールからの見立てである。
http://nk-money.topica.ne.jp/gold/goldnews.html