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竹中「新3原則」で「3弱メガバンク」窮地 改組、合併…姑息な国有化回避策に“一喝” [株ZAKZAK]
投稿者 あっしら 日時 2003 年 1 月 08 日 16:42:37:


「単なる数字合わせ」と国有化回避の組織改革や合併でメガバンクを批判する竹中平蔵金融相。新3原則で監視を強化する
 みずほ、三井住友、UFJの“3弱メガバンク”VS竹中平蔵金融・経済財政担当相の壮絶バトルが再燃した。『銀行国有化』を逃れようと、姑息(こそく)な奇策を繰り出すのに対し、竹中金融相が銀行監督に新たな3原則をブチ上げ、大批判を繰り広げた。狙いが“秘策封じ”の監視強化なのは明白。株式市場も嫌気から、みずほ株が再び、額面50円換算で100円割れした。金融庁による厳格査定という恐怖の特別検査の再実施を皮切りに、金融再生プログラムが本格始動するなか、市場が危機感を抱く3弱は、いよいよ窮地に追い込まれた。

 「戦略性(ストラテジック)」「健全性(サウンド)」「誠実さ(シンシアー)」

 竹中金融相が7日に打ち出した新3原則が、この「3S」である。

 昨年9月の金融相兼務の就任時には、「資産査定の厳格化」「自己資本の充実」「ガバナンス(企業統治)の強化」の3原則を掲げており、今回は3原則の第2弾ということになる。

 「単なる数字合わせのためのものでは評価できない」。そのうえで、竹中金融相は、メガバンクが相次いで打ち出している組織改正や経営統合などの計画をバッサリと切り捨てた。

 外資系証券アナリストは、新3原則の狙いをこう分析する。

 「昨年暮れにかけ、みずほ、三井住友、UFJが打ち出した計画は、いずれも、国有化を回避するため、何とか自己資本を増強し、目先の自己資本比率を引き上げたいというだけ。将来的な経営戦略はまったく感じられない。不良債権を別会社に移すなど、実態は何も変わらないというケースが多く、健全性が向上するわけでもない。市場の目をごまかす奇策で、誠実さのかけらもない」

 「新3原則が3グループの苦肉の策を狙い撃ちしたものであることは明白で、今後、計画の見直しや撤回を突き付けてくる可能性もある」

 確かに、国際ルールの自己資本比率8%の維持に必死な3グループ。昨年9月の中間決算では8%を大きくクリアしているが、今後、不良債権処理の加速と貸出債権の厳格査定で大幅にダウンが見込まれる。3グループの計画を具体的に見ると、それもうなずける。

 みずほグループが昨年12月4日に発表した「事業再構築」は、現在の持ち株会社である「みずほホールディングス」の上に、さらに新たな持ち株会社「みずほフィナンシャルグループ」を設立するというものだ。

 発表直後から、「屋上屋を架すの典型」との批判を浴びている。

 みずほ関係者は「公的資金の注入で政府が取得した優先株に対する配当原資を確保するのが最大の狙い」と前置きしたうえで、本音を明かす。

 「現在のみずほホールディングスは、子会社である、リテール向けのみずほ銀行、大企業向けのみずほコーポレート銀行に不良債権や株式評価損の処理などで巨額損失が発生した場合、子会社株の減損処理で配当原資である余剰金が底を突く恐れがあった」

 「優先株が配当できないと、国の議決権が発生し、国有化される。それを避けるには、子会社の損失処理の影響を受けない、さらに上の持ち株会社を必要があった」

 さらに、新会社に5兆円分の不良債権を移管する計画も盛り込まれているが、「新会社による新たな資本調達で、グループ全体の連結自己資本比率を引き上げるのが狙い」(みずほ関係者)。

 三井住友グループはまず、あおぞら銀行(旧日債銀)の買収をブチ上げた。自己資本比率が13%台のあおぞら銀行を子会社として抱えると、グループ全体の自己資本比率が0.5%上昇するというカラクリである。

 三井住友銀行が子会社であるわかしお銀行と合併し、わかしおが存続会社になるという「小が大を飲み込む吸収合併」の奇策も発表した。

 「合併差益」と呼ばれる帳簿上の利益を狙ったもので、実態は何も変わらないのに、見かけ上では2兆円もの利益が出たことになる。行内からも「そこまでしなくても…」との声が出た姑息な手段である。

 UFJグループは1兆円の不良債権を別会社に移管する計画を発表。米大手証券のメリルリンチ証券が新会社に優先株で1000億円を拠出することで合意した。これにより、グループ全体の自己資本比率は0.4%上昇する効果がある。

 「UFJ本体の株価が一時50円額面換算で100円割れするなど低迷しており、本体での資本調達が難しいので、目先を変えた子会社で金を集めた」(UFJ関係者)というわけだ。

 さらに問題視されているのが、メガバンクが模索する取引先企業を引き受け先とした数千億円規模の増資計画である。

 野党関係者は「メガバンクでは、取引先に融資し、その資金で株価を買い支えているケースが多数ある。今回もメーンバンクの立場を利用し、融資の見返りに増資の引き受けを要求したり、あるいは、最初から増資の引き受けを目的に、融資を実行する可能性がある。融資が増資に置き換わっただけで、健全性の向上にはまったくつながらない」と懸念する。

 メガバンクが系列生命保険会社との間で、相互に増資を引き請け合うケースも問題視されており、竹中金融相は新3原則により、こうした“もたれ合い構造”にもメスを入れる構えだ。

 なりふり構わぬ3グループの苦肉の策は、それだけ追い詰められている証拠だが、有力金融当局筋は、「外資に食い物にされているだけというのがわかっていない」と指摘し、こう続ける。

 「知恵を付けたのが外資系金融機関であるのは間違いない。金融再生プログラムの策定作業が始まった昨年9月以降、外資系は『市場がサプライズ(驚く)する経営改善計画が不可欠』と言って、メガバンク詣でを繰り返していた。手数料稼ぎというよりも、今後、本格化する不良債権処理で、安く買いたたき甘い汁を吸うためのコネ作りの気配が濃厚だ」

 国有化を回避できても、外資に食い物にされる。3弱メガバンクの命運は風前のともしびだ。


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