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ＵＢＳウォ－バ－グ証券会社・経済調査部チ－フエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「日米の財政政策はほぼ同規模でベクトルが逆」を挙げる。
＜米国：連邦・地方ならすと刺激効果はＧＤＰ0.3－0.5％＞ ブッシュ政権は、向こう10年間で総額6700億ドル規模に達する景気対策を実施する旨発表した。柱は、個人への配当課税撤廃、税控除拡大、設備投資減税である 。当初16ヶ月で1000億ドル程度の効果が見込めるということであるから、年率に 換算すれば、およそ750億ドル規模（ＧＤＰの0.7％）ということになる。同社で は、これまで当初12ヶ月で500億ドル（ＧＤＰの0.5％）の刺激効果をみてきたか ら、「200億ドル強、ＧＤＰ比で0.2％程度の財政刺激効果の上ぶれ」となる。他方、 米国では、州政府・地方政府における財政緊縮化の動きが予想される。州政府・ 地方政府を合わせた財政赤字は、足元（4四半期平均）でＧＤＰの0.5％に迫る規 模（500億ドル）にまで拡大（70年台後半以降のピーク）している。地域によっ て事情は異なるであろうが、「全体として、今後12ヶ月のうちに、ＧＤＰ比でみて 0.2－0.4％の財政引締め（増税措置等）を行うことが予想される」。従って、「連邦政府ベースでの追加刺激（ＧＤＰの0.7％程度）と合わせた効果は、ＧＤＰの0.3－0.5％（平均すれば0.4％）となる」と語る。
＜日本：日米の財政政策はほぼ同規模でベクトルが逆＞ 対する03年度の日本の財政はどうであろうか。ネット減税の1.8兆円はあるが、 一般会計歳出規模が02年度補正後対比で2兆円程度の減額となるほか、医療費負 担の増加等による社会保障税増税が２兆円に及ぶため、全体でみれば、およそ２ 兆円の緊縮化（ＧＤＰ比で0.4％）である。従って、日米の財政政策スタンスは 、「ＧＤＰベースでみてほぼ同規模でベクトルが逆」、ということになる。この ような状況では、当面、米国の経済成長率に対する期待が日本のそれに比べて大 きく悪化することはないと見る。昨日も指摘したように、為替相場にとっては 、日米の実質成長率および実質長期金利格差が重要なファクターであるが、「これらが縮小するとのシナリオは描けない」。こうした観点からすれば、「趨勢的なドル 安を懸念する必要はない」と引き続き読むべきだと言う。
＜米刺激策のファイナンスは、ドル相場維持で・・・＞ ただ、米国における追加的な財政刺激策により、特に短期的には（向こう12－16 ヶ月程度）、米国の財政赤字が大きく拡大する可能性は否定できない。02年会計年度の一般政府赤字はＧＤＰの1％程度であったが、これが、03－04会計年度に は2－3％に拡大するリスクが十分にある。米国政府にとっては、「今回の財政刺激 策がスムースにファイナンスされることが何としても必要である」。その場合、①長期金利の上昇を容認して国内貯蓄で赤字をファイナンスするか、それとも、②ドル高政策を継続させて日本等海外の貯蓄によるファイナンスを継続させるか、の 選択を迫られる。そして、「その選択肢に対する答えは、明白ではないだろうか」として、こう続ける。「米国政府にとっては、長期金利上昇よりも、ドル相場維持の方が受け 容れやすい政策であろう」。なぜなら、現在の米国の成長の源泉は、不動産市況の 堅調な推移による個人消費の拡大持続にあるからである。「米国政府による、弱い ドル政策への転換も生じない」と見ている。
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