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【ロンドン福本容子】欧州単一通貨ユーロへの加盟をめぐる英ブレア政権の決断の時が半年後に迫った。英国は欧州のリーダー役を果たすべきだと訴えるブレア首相は、加盟への意欲を燃やしているが、ユーロ圏経済と英国経済との違いがより鮮明になるなど、加盟への環境は厳しさを増す。
◆広がる慎重論◆
「あわてて加盟するのはよい事ではない」――。ブレア政権で親欧州派とされるヘイン前欧州担当閣外相が今年に入り、英国の早期加盟に慎重な見方を示し話題になった。与党・労働党の支持基盤である主力労組の代表も、「社会福祉の充実が先決」と、財政支出への制約を意味するユーロ加盟に反対の姿勢を表明した。
政権として国民にユーロ加盟を薦めるかどうかの判断は、(1)英経済とユーロ圏経済は十分似通っているか(2)加盟が雇用に役立つか――など「5つの経済テスト」の結果にかかっている。「イエス」と判断されれば国民投票にかけられる手順。判定期限が6月で財務省が作業を担うが、ブラウン財務相が早期加盟に否定的だとの報道が後を絶たない。03年内の国民投票実施は無理だとする見方が急速に広がっている。
◆英経済vsユーロ圏◆
早期加盟悲観論の最大の理由は、鮮明になってきた英経済とユーロ圏経済との違いだ。
労働市場が柔軟に機能し失業率が4%台の英国と、8%以上に高止まりしたユーロ圏。英国の最大の課題が、住宅バブル崩壊の打撃を最小に食い止めることなのに対し、ユーロ圏は経済構造改革、景気浮揚が待ったなし――といった具合で、両経済の違いがますます注目されてきた。
デーリー・テレグラフ紙が民間エコノミスト21人に実施した調査では、15人が「合格しない」と回答したが、英・ユーロ圏間で広がる格差が主な理由だ。
◆懐疑的な国民◆
国民も依然、早期加盟に懐疑的で、世論調査会社MORIが11月実施の調査で、国民投票で「加盟を支持する」との回答は31%で、「支持しない」の51%を大きく下回った。
そんな中、英国の民間コイン製造会社が、エリザベス女王の肖像付きのユーロ硬貨を作った。支払いに使うことはできないが、「ユーロ加盟で英国のアイデンティティーまで失われるとする意見への反論」が製造の理由。注文が殺到し、2万セットはたちまち売り切れたが、購入者の多くは英国民でなく、ユーロ圏内の収集家らしい。
[毎日新聞1月6日] ( 2003-01-06-21:16 )