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UBSウォ−バ−グ証券会社・経済調査部チ−フエコノミストの白川浩道さんは今日のポイントとして、「『双子の赤字』による米ドル安論は本当に妥当か?」を挙げる。白川さんは、「市場参加者にとっての1つの大きな懸念は、ドル相場の趨勢的な下落(趨勢的な 円高)によって国内のデフレ圧力が強まること」と語る。実際、今年については 、多くのエコノミストやストラテジストが為替円高を予想している。また、同社グローバル・チームでも、向こう6ヶ月以上の中期的な展望では、ドル安傾向を予想している。ただ、「個人的には、ドル安傾向が大きく強まることはないとみている」。その背景等として以下の6点(ほぼ原文通り)を挙げるーー。
(1)1980年代以降の3度の円高局面(85年秋〜88年末、90年央〜95年秋、98年秋〜2000年央)は、日米間の経常収支不均衡の拡大局面と概ね合致している。このことは、対外不均衡拡大が為替相場の調整をもたらす傾向があることを示している。
(2)しかし、対外不均衡拡大によって必ず為替相場の調整が生じるとは限らない 。その典型的な例は、2001年央から昨年秋口にかけての対外不均衡拡大局面である。対外不均衡の拡大が必ず為替相場の調整をもたらすのであれば、円相場は2001年後半から、もっと円高化していなくてはならないはずである。
(3)2001年央以降、対外不均衡の拡大を無視する形で、米ドル相場が堅調に推移した背景としては、日米の実質成長率格差(米国経済の高成長の継続)と、日米実質長期金利差の高止まりを指摘できる。重要な点として、上記に指摘した1980年代以降の3度の円高局面では、円高調整が始まる初期段階において、日米間の実質成長率格差、および実質長期金利格差の縮小が生じている。
(4)すなわち、1980年代以降の3度の円高局面では、米国の実質成長率と実質長期金利が相対的に低下する下で、対外収支不均衡の拡大が同時に生じていた、ことになる。まとめれば、円ドル相場の円高方向への調整は、「米国における経常収支赤字の拡大と成長率鈍化の同時的な発生」を必要とする可能性が高い。
(5)翻って、足元の米国の状況をみると、経常収支赤字は構造的なものであり、 その縮小は望めないが、追加的な財政刺激策の導入や不動産価格の高止まりを背景にした個人消費の堅調な推移によって、成長率の大幅な鈍化は避けられる見込みにある。米国経済は2.5−3%成長で走れる見込みにあるのである。日本経済が 高々ゼロ成長であるとすれば、実質成長率格差は埋まらない。
(6)「双子の赤字」による米ドル相場の調整を大きく懸念する必要はないのではないか。日銀による追加的な量的緩和も手伝って、(イラク問題等の不確定要因をこなした後)円相場は130円方向を目指すとみておきたい。