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2003.1.5
2003年の政局展望
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「たのしみは国内家内の事もなく無病息災しずかなる時」――江戸時代の歌人・橘曙覧の歌である。国にも家にも何事もなく、皆が病気せず健康に静かに過ごすことこそ楽しいという意味。私も同じ気持ちだ。2003年が無事に静かに過ぎることを祈りたい。
しかし、現実はきびしい。私たち日本国民が世界と日本、政治と経済の動きに危機意識を抱き、日本社会を少しでも上向きにすることを真剣に考えなければならない時がきている。
過ぐる02年は低迷の一年だった。これに対し今年03年はどうなるか。波乱の年になると私は予想している。だが同時に、政治の方向転換に成功すれば新たな発展への第一歩を踏み出すことは可能になる。日本は今重大な岐路にある。
世界の動きは激動の様相だ。米国とイラク・北朝鮮の核武装が国際関係は一触即発。米英両国によるイラクへの武力行使の時が迫っている。いったん戦争が起これば、平時には予測できない事態が発生する。日本の国内の政治・経済にも大きな影響が出てくる。政治面では、従来憲法上許されないとされてきた集団的自衛権の行使に踏み出す可能性が高い。経済面の影響は複雑だが、石油価格の高騰とドル安が日本経済の崩壊を加速化させるおそれが強い。
03年の日本政治の主要テーマは次の五つ。@デフレ不況、A北朝鮮核危機、Bイラク問題、C日米関係、Dは選挙、である。
第一のデフレ不況は、小泉構造改革ハードランディング路線がつづけば、さらに深刻化する。中小零細企業は銀行のきびしい貸しはがしを受ける。多くの中小零細企業が倒産・廃業に追いやられる。失業者が増え、犯罪は激増。国民は小泉内閣の中小企業大整理政策におびえ、さらに萎縮する。大不況となる。
深刻化するデフレ不況スパイラルを止めるためには政策転換が必要だ。保守新党代表に就任した熊谷弘氏は小泉首相に金融政策の修正を迫る。自民党内には財政政策の修正を中心に政策転換を迫る動きもある。
小泉首相には二つの道がある。政策転換してデフレ対策に取り組むか、政策転換を拒否して衆院解散に踏み切るか、だ。
第二の北朝鮮核危機は極東の平和にとって深刻な問題だ。北朝鮮が玉砕戦術へ暴走すれば、日本は従来の集団的自衛権行使否定の国是の維持が困難になる。
第三のイラク問題がこじれ米英軍が軍事力行使に踏み切った時、小泉内閣は米国政府の要求を拒否できず、なし崩し的に憲法九条の制約を破って武力行使に踏み切り、米英日三国連携の一翼を担うことになる。大転換だ。
第四の日米関係も重大な岐路にある。一つは安全保障問題。イラク・北朝鮮危機を通じて日米の軍事の一体化が進む。経済面では深刻な矛盾が発生し激化する。日米両政府は、日本的システムを破壊し、米国的グローバリズムの全面的導入を目指している。しかし、日本の風土、文化、習慣を無視して、米国的弱肉強食主義を導入すれば、日本の経済社会は果てしない混乱に陥る。混乱回避のためには、国際化と日本的システムとの調和をはかる必要がある。
第五は選挙。03年少なくとも二つの大型選挙がある。4月の統一地方選と九月の自民党総裁選。統一地方選は21世紀の地方自治の方向を決める大切な選挙だ。9月の自民党総裁選で小泉首相が総裁に選出される可能性は低い。この情勢の中で首相が延命策をとるとすれば、9月以前に衆院解散を断行する以外に道はない。小泉首相は否定しているが、03年前半の衆院解散の可能性は高い。
以上の五テーマはいずれも日本の将来にとって最重要課題だ。結論を出すのは国民であり、選挙における投票行動である。「投票は弾丸よりも強い」――第16代米国大統領リンカーンの言葉だ。03年の政治は総選挙を軸にして動く。
03年の政治を動かすのは不況と選挙である。
【以上は1月4日付け四国新聞「森田実の政局観測」として掲載されたものである】