現在地 HOME > 掲示板 ★阿修羅♪ |
|
今年も大手銀行による株式の大量売却が株価の足かせとなりそうだ。大手銀各行は、来年9月までに保有株を「中核自己資本」の範囲内に抑えることが義務付けられており、超過分の約5兆円の売却を迫られている。各行とも、自己資本比率を引き上げ、『国有化』回避のためにも、前倒しで来年3月までに売却を終える方針だ。ただ、売却を急げば、株価下落が一段と加速、それが銀行の経営体力を奪うというジレンマも抱えている。
大手銀が保有する株式は昨年9月末現在、総額約20兆円。金融庁は、株安のたびに金融危機が浮上する銀行の不安定な経営状態を改善するため、「銀行等株式保有制限法」を導入。来年9月までに、保有株を中核自己資本以下に削減することを義務付けた。
これを受け、日銀も大手銀の保有株を直接、最大で2兆円買い取ることを決め、昨年11月下旬から実施している。
大手銀では、住友信託銀行がすでにこの基準を達成しており、売却が必要な超過分は約5兆円に上る。
各行とも前倒しで基準を達成したい意向で、UFJグループは今年3月、三井住友と三菱東京の両グループは今年9月、みずほ、りそな、三井トラストの各グループも来年3月までに売却を終える計画だ。
大手銀が売却を急ぐのは、経営が株価に大きく左右される不安定な体質を改善すると同時に、自己資本比率を引き上げる狙いもある。
竹中平蔵金融財政担当相が打ち出した今春始動の金融再生プログラムによって、大手銀は同比率が国際基準の8%を割り込むと、国有化の危機に直面する。
同比率の引き上げには、分母である総資産の圧縮が最も手っ取り早い。このため各行とも貸し渋りなどで貸出資産の圧縮を進めてきたが、それだけでは限界があり、やはり総資産に含まれる保有株も圧縮することにしたというわけだ。
ただ、売却が計画通りに進むかは未知数。平均株価が8000円台で低迷、各行とも巨額の含み損を抱えており、売却時には含み損が実現損となり経営を直撃する。
実際、大手銀全体で今年度中に5兆円分を売却する計画だったが、「達成率は2−3割に止まり、特に、みずほ、UFJの売却が遅れている」(市場筋)という。
日銀の買い取り額も、昨年中はわずか807億円に止まっている。
一方で、売却を強行すれば、株式市場の需給が悪化し、株安が一段と加速するのは必至。そうなれば、含み損が膨らみ、売却時の実現損が増大し経営体力が疲弊する。
しかも、時価会計制度により含み損の6割相当額を自己資本から差し引かねばならず、自己資本比率も低下する。
大手銀は「自己資本比率8%割れ=公的資金注入による国有化を逃れようと、あがけばあがくほど、ドロ沼にはまり込む」(金融アナリスト)という悪循環に陥っているようだ。