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低金利での運用難にあえぐ生命保険会社の経営支援に向け、顧客に約束した利回りを引き下げて支払い保険金を削減する「予定利率引き下げ」制度導入をめぐる論議が年明けにも動き出す見通しとなった。実際の運用利回りが予定利率に届かない逆ざやを解消するためで、政府・与党内の検討が始まるほか、反対していた主要生保の一部も協力に転じ始めた。
自民党は、財務金融部会の保険問題小委員会(佐藤剛男小委員長)を中心に1月にも検討を始める。最短の場合、02年度内に保険業法改正案を通常国会に提出できるよう調整する構えだ。成立後、株主総会にあたる生保の総代会での受け入れを求める。
経営破綻(はたん)する前に利率を引き下げる制度は01年の保険審議会で議論されたが、主要10生保では最大手の日本生命を除く全社が「契約者の理解を得られない」として反対を表明していた。ただ、反対していた大手の一部が最近になり「急な株安で生保各社は内部留保の多くを失った」などとして協調姿勢に転じており、「以前より業界の拒否反応は薄らいだ」(金融庁幹部)。
主要生保の株式含み益は最近の株安で今年度上半期だけで1兆6500億円減少。一方、逆ざや額は年に約1兆2千億円にのぼる。
利率引き下げには、生保向けに約2兆円の債権を持つ大手銀行の不安を取り除く狙いもある。生保が破綻すると、大手行が生保の自己資本として拠出した基金や劣後ローンが無価値となるため、「金融界の大混乱が連鎖破綻を呼びかねない」との懸念があるためだ。
ただ、業界内にはなお、顧客離れを懸念し、予定利率下げに反対する声も残る。銀行から得た資本より先に、顧客に負担を強いる仕組みだけに、実現までには統一地方選などの政治日程も微妙に絡みそうだ。3月期末に向け、株安による生保の体力消耗の状況をにらんだ展開になる。
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<予定利率> 生保が契約者から預かる保険料について契約時に約束した運用利率。養老保険の一例だと90〜92年度の新契約者が年5.5%、93年度が4.75%、94、95年度が3.75%と90年代半ばまで高かった。現在は1.5%。引き下げは、例えば3〜4%を超える予定利率をある時点から一律3〜4%にする。その後の満期や死亡までの期間が長いと、受け取り保険金の削減は数十%規模にもなる。
(03:02)