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石油輸出国機構(OPEC、本部・ウィーン、加盟11カ国)は、アジア向け原油に限って一定価格を上乗せしている「アジア・プレミアム」の解消に向けた検討に入った。日米の関係筋が30日までに明らかにしたもので、専門家の試算によると、日本は過去10年余りにわたり、最大で年4000億円近い上乗せ分を支払ってきた。上乗せの見直しは、イラク攻撃が想定される中、中東石油に依存する日本などが輸入先の多角化に本腰を入れ始めた結果であり、OPEC支配体制の弱まりを示しているともいえそうだ。
原油価格は過去10年間、1バレル10〜30ドルで推移してきた。日米政府関係者によると、OPECの輸出のうちアジア向けは欧米向けに比べ、1バレル当たり1〜1.5ドル上乗せされてきた。この「慣行」は80年代後半に始まり、日本を中心としたアジア諸国は、欧米に比べると、総体として過去10兆円前後のカネを余分に支払ってきたという。
アジアは93年に中国が石油輸入国に転落して以降、中東への依存度が高まった。特に日本は石油ショック後に60%台まで中東への依存度を引き下げたが、現在は9割近くにまで上昇。アジアに対する価格上乗せは、中東依存度が高いうえ長期購入契約が多いため、「OPECに足元をみられてきた」(経済産業省)ためといえる。
9月21日から大阪で開かれた国際エネルギーフォーラムの非公開会議では、インドの担当大臣が「アジアは重要な市場と言われながら、欧米より高いのはおかしい。是正すべきだ」と発言。日本の石油公団理事も「(1バレル当たり)平均1ドルも高かった」と主張するなど、アジア側から不満が噴出していた。
OPECがアジア・プレミアムを解消する方向で検討に入ったのは、日本が西アフリカやロシアなどに輸入先を多様化させたり、長期契約を見直す動きを見せているためとみられる。
日本エネルギー経済研究所によると、日本は90年代の10年間、年間2500億〜3750億円を上乗せ分として支払ってきた。上乗せが解消されれば、石油輸入代金が大幅に軽減されることになる。
OPEC主要国のアラブ首長国連邦のナシリ石油相は毎日新聞に対し、価格差を認めたうえで、「消費国への地理的距離の違いなどが原因だ」と説明した。
【「民主帝国」取材班】
[毎日新聞12月31日] ( 2002-12-31-03:01 )