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http://www.chugoku-np.co.jp/kikaku/public/Mk02122703.html
備後公共工事 暴力団・談合はびこる '02/12/27
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■排除と浄化 行政が本腰
「暴力団は必要悪だ」。建設業者の不正と暴力団取材の取材現場で、今でも耳にする言葉だ。業界に巣食う暴力団の影、まん延する談合体質、一部業者のゆがんだ感覚…。三カ月近くの重点取材を通じ、問題の根深さを痛感している。
暴力団との結び付きをほのめかすなどして、暗に金を要求する ―。役員が恐喝未遂や恐喝の疑いで逮捕された総合建設業「日大」(福山市東手城町)の手口だ。舞台は、広島県の芦田川大橋建設工事。多くの業者が不況で受注減に悩む中、下請け参入を強いた疑いもある。
▼特異な福山地区
「全国で工事をしているが、こんな金銭の要求をされたことはない」。恐喝未遂事件の被害者になった共同企業体の関係者の証言は、福山地区の特異さを示している。
入札妨害事件も相次いで表面化した。市建設協会長で一瓢組(同市田尻町)副社長ら二人が逮捕された。いずれも福山市発注工事の「談合」をめぐり、落札を望む業者に圧力をかけるなどしたとされる。
▼落札額高止まり
「競争を避け、落札金額を高止まりさせる」。談合の狙いをこう明かした業者は複数あった。市の主要工事の多くが、予定価格の96 %以上で落札された実態は、談合が常態化している疑いをうかがわせた。
これまでの捜査では、日大と指定暴力団浅野組中岡組(同市昭和町)の深い関係が判明している。昨年末、組事務所の増改築の祝儀として、複数の業者から現金が渡ったことも分かっている。
「談合で工事費を高くできるから、暴力団に一部を渡すことができる。談合体質が暴力団の介入を招いた」。そう自戒する業者もいた。
県警は四月、福山東署に福山地区暴力団等特別取締本部を設置した。取締本部が逮捕したのは六人。捜査に呼応するように行政サイドも暴力団排除と、業界の浄化に本腰を入れ始めている。
▼入札改革相次ぐ
事件に関連し、県や福山市は日大など八社を最高二年間の指名除外にした。県は来年一月六日、暴力団と親交がある業者も指名除外できるよう改正した要綱を施行する。福山市は電子入札の導入検討など、入札制度の改革を相次いで打ち出した。
二十六日には、恐喝罪で日大の元会長が起訴された。十月からの県警の捜査はヤマの一つを越えた。が、備後地区を見渡せば、暴力団の動きは、むしろ活発化している。
井原市と府中市には、浅野組系暴力団が新たな拠点を構えた。尾道市の指定暴力団〓道会は本部を移転。日大を通じ、業界に強い影響力を持つ中岡組には、捜査は及んでない。
備後本社に寄せられた反響の意見や情報は、百件を超える。「悪しき流れを変えたい」。関係者の思いが堰(せき)を切ったように噴き出した、と受け止めたい。
「警察がどこまで本気か。見極めるまで話せない」「今はまだ業界の動静を見ていたい」。一方で匿名電話を打ち切った関係者たちも多い。すべてを明かせる環境が醸成できた時、暴力団排除に一歩近づけるのだろう。(「むしばまれる公共事業」取材班)
【福山地区の建設業界の不祥事と、暴力団をめぐる主な動き】
10・18 広島県の芦田川大橋上部工事に絡む恐喝未遂容疑で、日大専務、高山建設役員ら3人を逮捕
10・22 福山市の下水道工事をめぐる競売入札妨害容疑で、市建設協会長の一瓢組副社長を逮捕
10・25 日大の事件に関連し、指定暴力団浅野組中岡組事務所を捜索
11・5 市の雨水幹線整備工事に絡む競売入札妨害容疑で、ヤマト開発工業社長を逮捕
11・20 県が建設業者等指名除外要綱の改正方針を固める
11・25 市建設協会と福山建設業協会が業界自浄へ宣言文採択
11・29 日大が民事再生法適用を申請▽三原建設業会が暴力団追放を決議
12・2 県建設業協会連合会が暴力団介入の根絶を決議
12・5 指定暴力団〓道会が、尾道市山波町に本部移転したことが判明
12・6 日大会長の佐藤州一容疑者(52)を恐喝容疑で逮捕▽府中市に浅野組光定組が進出する動きが判明
12・10 井原市に浅野組重政組が進出する動きが判明
12・18 国、県、福山市、福山東署でつくる「福山地区入札問題等連絡会議」が発足
12・20 福山市議会が「暴力追放都市宣言」を決議
【お断り】〓はにんべんに「夾」と書く字ですがJISコードにないため表示できません。
【写真説明】「日大」の捜索で押収物を運び出す捜査員。一連の捜査の第1弾だった(10月18日)