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http://www.kahoku.co.jp/sai/19990201sa.htm
2)北上<中>熱気 冷気/大型店にさえ“盛衰”
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百貨店「北上ビブレ」を核とする再開発事業が進む北上市の本通り。本通り・新穀町地区再開発組合の理事長、衣類販売会社社長小笠原直敏さん(53)は語る。
「核店舗は量販店ではない。既存商店街と共存共栄でき、波及効果が望める」
再開発をめぐっては、西郊外、江釣子の大型店などから第三セクターへの出資で、市費の支出差し止めを求める訴えが起こされた。小笠原さんは裁判を気にしながらも、再開発の将来に話を弾ませる。
「試算していないが、600人程度の雇用が生まれ、工業団地の企業誘致も有利になる」。江釣子の大型店から、「行政丸抱え」と批判されようと、市の後押しを心強く思う。
市の姿勢は、高橋盛吉市長(75)が「地盤沈下している中心市街地の再開発は、市の計画などに位置づけられている。三セク出資は当然」と言うように、はっきりしている。
北上は東北有数の内陸型工業都市。市は、周辺市町村を含めた35万人の都市圏づくりを狙う。商業では、本通りを含む十字路商店街、江釣子、JR北上駅前の3カ所を軸に全市を活性化。「点」から「面」へ、にぎわいを広げる。
だが、冷ややかな目がある。昼下がりの十字路商店街。顔見知りの中年女性たちが店でお茶を飲み、あけすけに言い合う。
「『商店街全体が活気づく』と宣伝しているが、古い商店街に客は来ない」
「再開発区域内で経営難の店は、畳む機会になるのでは」
市内では、補償金とからめて「ビブレ成金」、補償金と借金返済に掛けて「清算事業」と、やっかみ、当て推量の言葉が飛び交う。
再開発区域約2.3ヘクタールの対象店舗は25店。本通り、同1丁目、諏訪町、新穀町の4つを合わせた十字路商店街の約200店と比べれば、少数派にすぎない。大多数の区域外の人々は、やっかみなどとは関係ないものの、置き去りにされる不安が消えない。
本通り隣、諏訪町の男性店主は「今度も、かつて諏訪町や駅前に誘致した大型店と同じ結果になるよ。にぎわうのは大型店だけ。商店街の生き残り戦争に変わりない」と訴える。
十字路商店街は、全部にアーケードを架けたりしてきた。客の減少は止まらず、売り上げは最盛期の1975年(昭和50年)ごろの半分以下。「市役所や病院帰りの年寄りを相手に商いを続けている店が多い」
諏訪町は80年前後、仙台資本の大型店エンドーチェーンを核としたショッピングセンター(SC)で最も繁盛した。やがて江釣子にSCができて客が流れ、北上駅前にイトーヨーカドーを核とした再開発ビルが開業し、追い込まれた。
ところが大型店までが不調になってきた。エンドーチェーンが経営不振から撤退してしまい、今年早々にはイトーヨーカドーが撤退の方針を明らかにした。市役所内部には「飽和状態なのに、北上は大型店に注目されて出店計画がめじろ押し」との声がでている。
3カ所の盛衰を、ずっと間近に見てきた十字路商店街の人々。不安をぬぐおうと、再開発の組合理事長小笠原さんは「区域の権利者(約100人)を救う事業ではない。街づくりのため代々の土地を提供するのだ」と説く。同商店街振興組合連合会会長、寝具商斎藤忠夫さん(71)も「最後の好機と覚悟し、街をよみがえらせたい」と奮い立つ。
地元の再開発なのに沸き上がる熱気は、まだ。権利者の1人、初老の男性が指摘する。
「足並みをそろえ自主的に始めたのではない。トップダウンの手法が気になる」
<商圏>
1997年(平成9年)10月、北上市本通り・新穀町地区再開発準備組合(現再開発組合)とダックシティ(現ダックビブレ)は、東北通産局に大店法の三条申請(建物設置届け)を提出。北上を中心に水沢市、石鳥谷町など半径30キロ以内の11市町村34万人を商圏と見込んだ。
北上市が92年に作った特定商業集積整備基本構想は十字路商店街を、35万人の広域都市圏の中心・北上の都心として整備する方針。
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