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ニューヨーク 12月29日(ブルームバーグ):今週の米国債相場は、5週連続で上昇する公算が大きい。イラクおよび北朝鮮との緊張が高まるなか、安全な投資先への需要が高まるとみられるためだ。
一部アナリストは、2年債利回りを過去48年で最低の水準まで押し下げた上昇相場が2003年1月まで続くとみている。軍事行動開始への懸念とベネズエラからの輸出激減を受けて、2年ぶりの高値圏にある原油相場が景気回復の足かせとなり、一部投資家の間で株を売り米国債を買う動きが強まるとみる。
ジェネット・ウェルシュ・アンド・コトラーで50億ドル相当の運用に携わるプジージオ氏は「イラク、ベネズエラ、北朝鮮、原油高、これらすべてが、消費や株式市場にとってプラスと思われた何もかもを帳消しにし始めている」と指摘。「結果として、米国債相場の上昇は続くだろう」と述べた。
先週は、10年債(償還2012年、表面利率4%)相場は1ポイント(額面 1000ドルに対して10ドル)超上昇の101 9/16となり、利回りは0.15ポイント低下の3.81%と、11月12日以来の水準に低下した。24日発行の2年債(償還 2004年12月、表面利率1 3/4%)は発行価格から3/16余り上昇し、利回りは 1.59%と1954年以来の低水準となった。
ベネズエラ
米国債相場は、国連査察団がイラクの大量破壊兵器の査察を再開した11月 27日以来上昇が続いている。この間の10年債の総合投資収益率は3.9%、2年債は1.1%となった。
ベネズエラのストの影響で米国内のガソリン卸売価格は約2カ月ぶりの高値となり、米消費者は耐久財購入に資金を回しにくくなっている。バンク・ワン・キャピタル・マーケッツの調査部門責任者ジョンソン氏は「ベネズエラの政治問題は恐らく、イラクとの戦闘が始まった際に原油価格高騰を招くだろう」と予想。「これが世界の成長抑制要因となり、一部投資家を米国債に向かわせるのではないか」とみる。
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が国際原子力機関(IAEA)査察団に退去を通告したことで、同国が核開発を計画しているとの観測が高まったことも、米国債需要につながった。ナショナル・ライフ・インベストメント・マネジメントで60億ドル相当の運用に携わるブラウンリー氏は「米国が同時に2つの戦争に直面する可能性も視野に入れるべき」として、10年債利回りは「戦争に関する何らかのニュースがあれば」3.5%まで低下するとみている。
景気回復のもたつきを示す指標から、米金融当局が40年超ぶりの低金利を 2003年後半まで据え置くとの観測も高まっている。小売り最大手のウォルマート・ストアーズは、2003年1月3日までの5週間の売上高の伸びを2−3%と、従来見通しの3−5%から下方修正した。
一方で、2001年1月以来12回の利下げにより成長が加速するとみるアナリストもある。米経済予測ニューズレター、ブルー・チップ・エコノミック・インディケーターズが今月実施した調査では、2003年の米国内総生産(GDP)成長率は前年比2.8%と、2002年第4四半期(10−12月)の前期比年率1.4%から加速すると予想される。
今週発表の指標では、米民間調査機関コンファレンス・ボードが31日発表する12月の米消費者信頼感指数は86と、11月の84.1から上昇が見込まれる。米供給管理協会(ISM)が2003年1月2日発表する12月の米製造業景気指数は50.1と、11月の49.2から上昇し、景況感の分かれ目となる50を4カ月ぶりに上回る見通し。
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