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３カ月展望 円、波乱必至――国際情勢や日米政策次第で乱高下
【ＮＱＮ】今後３カ月の円相場は波乱必至の展開か。国際情勢の緊迫化や米国新経済チームの通貨政策の行方、日銀の後継総裁選び――。
注目材料が目白押しで、その結果や中身次第で円相場の地合いは目まぐるしく変わるだろう。円が急伸する場面では、通貨当局が円売り介入に踏み切るとみられ、値動きが荒くなりそうだ。円の上値は７月16日に付けた今年の最高値１ドル＝115円50銭。下値はテクニカル的に強い支持線であ る125円50銭と予想する。
年明けの円相場を揺さぶる最大の要因とみられるのが、米国・イラクの軍事衝突の有無。イラク軍がすでに首都周辺に師団配備を始め、迎撃態勢を整えつつある。両国が開戦に踏み切った場合、ひとまずドルが大きく売られる形で円は急伸し、その後、戦争の短期終結を織り込む格好で徐々に円安・ドル高に流れが変わる可能性が高い。一方、米国・朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の対立がさらに先鋭化すれば、円買い・ドル売り圧力が増しそうだ。
米国絡みのもう１つの重要材料は新経済チームの為替政策だ。ジョンスノー次期財務長官は年明けに議会の指名承認公聴会に臨む。米議会ではドル安待望論が高まっているだけに、スノー氏が声高にドル高政策を唱えるかどうかが焦点となる。
日本でも１月14日付で溝口善兵衛国際局長が新財務官に就任する。外為市場では、人事を一新した通貨当局の介入姿勢などを見極めようとする空気が強まりそうだ。円高阻止への手腕に疑問符が付くようだとドル弱気派を勢いづかせることになろう。
３月19日で任期を迎える速水優日銀総裁の後継人事も見逃せない。日経ＱＵＩＣＫニュース社が年末に実施したアンケートでは、市場が推す総裁トップは福井俊彦・富士通総研理事長だった。後継総裁が決まった場合、市場の認知度の有無や、日銀の今後の金融政策を巡る思惑などで円相場は左右されるだろう。
株式相場の先安観も強い。日経平均株価が今の水準で低迷を続けるようだと、１月後半ぐらいから国内機関投資家の海外資産引き揚げの動きが強まり、円高の地合いを醸成する可能性が高い。（田中彰一）
財務相：円高に向かうなら措置しないといけない
塩川正十郎財務相は27日午前、閣議後の記者会見で、為替政策について「購買力平価との関係から現在の相場を見ていることと、相場が急激に変動するときには措置を講じないといけないということの２つの基本線を持っている」と説明。そのうえで「円高に向かうなら措置をしていかないといけない」と述べ、一段の円高に対しては円売り介入などで対抗していく意向を改めて示した。
保守新党の熊谷弘代表が円安誘導策を主張しているとの指摘に対しては「意見を聞いて勉強の糧にしたい」としながらも「各政党の主張にすぐに適合していく措置はなかなか難しい」と述べた。直接的な円安誘導策に対しては慎重な姿勢を崩さなかった。
財務官：（為替）年末年始、必要に応じ適切な対応取る用意ある
財務省の黒田東彦財務官は27日朝、現在の為替相場について「注意深く市場の動向をみていく」と述べた。年末年始の相場についても「必要に応じて適切な対応を取る用意がある」と述べ、急激な為替変動に対しては当局が市場介入を含めて対応するとの姿勢を改めて示した。登庁時に記者団の質問に答えた。
l 円、通貨オプションが一段高を演出？ 119円台半ばが「分岐点」12/27金曜日14:25
【ＮＱＮ】27日の東京外国為替市場で、円相場は一時１カ月半ぶりの高値水準となる１ドル＝119円90銭まで上昇した。黒田東彦財務官は「年末 年始も必要に応じて適切な対応を取る用意がある」とくぎを刺したが、「ドル先安観」が揺らいだようには見えない。しかもきょう27日は、最近の円急伸を演出した海外勢がクリスマス休暇を終えて市場に戻り始める時期。通貨オプション取引に絡んだ動きなど、再び投機的な円買いに動くとの疑念は消えていない。
節目になりそうなのは１ドル＝119円80銭と119円50銭近辺だ。これらの水準を一度でも突破すると円を買う権利が消滅してしまうノックアウト型のオプションや、一度も超えなければ収益を得られるノータッチ型のオプションなどが存在すると見られている。オプションの買い手は権利消滅を避けるために円売りで対抗するが、流れを止められないとその分だけ損失限定を目的とした円買いのエネルギーも蓄積することになる。海外投機筋などがこうした展開を想定した上で円買いを仕掛ければ、「円の一段高がより現実味を増すはず」（邦銀ディーラー）という。
需給バランスを見てもドルの下落基調は明らかだ。コール（買う権利）とプット（売る権利）で需給の偏り具合を示すリスク・リバーサル（１カ月物）は、円・コールが1.0％程度、ユーロ・コールも1.2％程度対ドルでプットを上回っている。１ドル＝120円近辺、１ユーロ＝1.03ドル台後半から「さらにドルが円やユーロに対して安くなる」との予想が増えたことを示している。「119円台の行使価格で設定したオプションは少ない」（欧州系銀行東京支店）との声があるものの、円の水準が切り上がった場合、差損回避（ヘッジ）などに伴う円買いが追随して円の上昇ピッチが速まりかねない。チャート分析によると、119円台半ばは12月上旬に付けた円の安値（125円73銭）と７月に付けた高値（115円50銭）までの上げ幅に対して38.2％（フィボナッチ級数）相当下押した水準にあたる。これを上回れば円の上値余地が広がるとして、便乗する参加者も出てきそうだ。27日は輸入企業からの円売りが円の重しになったが、日本が「実力行使」に打って出ないと、ドル弱気派の勢いは簡単には衰えそうにない。（今 晶）
クイックより
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。