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竹中平蔵金融・経済財政担当相の大手銀行への「劇薬第2弾」が始動する。金融庁は大手銀行に対する資産査定の新たな適用基準として、米国流の厳格な「ディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)」方式を導入、ゼネコンなど大口過剰債務企業を狙い撃ちにする。一律義務付けは見送られたが、大手銀は引当金積み増しにより、業績下方修正を迫られるのは必至、国有化をめぐるバトルは激しさを増す。
DCFは、企業の将来の収益予想に基づいて引当金を見積もるという方法で、竹中氏や木村剛氏ら急進改革派が、税効果会計の見直しとともに導入を強く主張していた「ハードランディング路線」の1つだ。
融資企業の「将来の収益」が引き当て基準となる。このため「将来性のない企業」への融資に対してこれまで“甘い”査定にとどめていた銀行は、さらなる引当金の積み増しを迫られる。不振企業を守りきれず法的処理、つまり破綻に追い込まれる可能性も高まる。
適用されるのは、みずほ、三菱東京、UFJ、三井住友のメガバンクにりそな、三井トラスト、住友信託の各銀行・グループ。
不良債権額は総額30兆円分に達するが、このうち金利減免などの支援を受けている「要管理先」などに分類されている100億円以上の大口債権。要管理先債権の6割程度とみられ、計10兆円前後の債権が見直し対象となりそうだ。
つまり、ゼネコンを中心に流通、不動産、商社など「30社リスト」「51社リスト」などの企業にターゲットを絞った形となる。
金融庁は「義務ではない」としているが、大手銀にとっては事実上の強制となる。
DCFの効果を疑問視する見方も根強いが、「要管理先債権」について大手銀の現在の引当率は平均20%程度。DCFが導入されれば引当率は30−35%に上昇するとみられる。というのも、すでに独自の方式でDCFを導入している三菱東京の引当率は34%に達しているのだ。
引当金を積み増しすれば自己資本が大きく減少する。健全性の目安となる8%を割り込んでしまえば、公的資金の注入や優先株の普通株転換などの手法により、「実質国有化」されてしまうというシナリオが待ち構える。
貸し出し資産を圧縮しようとしても、金融庁は大手銀行の中小企業への融資残高が9兆円減という貸し渋り・貸し剥がしの実態を公表している。
追い詰められた銀行だが、もちろん手をこまねいて見ているだけではない。
みずほはグループ再編、UFJはトヨタ自動車による増資、さらに三井住友はあおぞら銀行買収やわかしお銀行との合併など奇策を相次いで打ち出している。
また日商岩井とニチメンの統合、トヨタ自動車によるトーメンの支援など商社の再編も進み、最大の問題であるゼネコン業界でも水面下で淘汰・再編計画が加速する。
年明けには特別検査も再実施されるため、銀行は資産査定の実態が丸裸にされる。
2003年は大手銀にとっても不振企業にとっても、最大の試練の年となりそうだ。