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官民一体の金融支援を得て経営再建中の『51社リスト』企業のダイエー。竹中ハードランディング路線のなか、世界最強の米ウォルマート・西友とイオン、イトーヨーカ堂の3強に対し、死闘が続く。延命策に希望があるのか、産業再生で解体されるのか。歳末商戦の行方が命運を担い、流通業界にも待ったなしの再編・淘汰(とうた)の嵐が吹き荒れる。
額面50円に対し、株価89円。100円を割り込み、高木邦夫社長が営業面でも陣頭指揮を執るダイエーの再建に株式市場で赤信号が点滅したのは10月7日のこと。
竹中経財・金融担当相が米紙のインタビューで、「政府が『大き過ぎてつぶせない』という姿勢をとり続ければ、日本のコーポレート・ガバナンス(企業統治)はどうなるか」と語った『劇薬発言』が引き金だった。
後に竹中氏は「発言内容に意訳があった」と否定している。
10日後の同17日には、UFJなど3行が債権の株式化などで得た500億円と、政府系の日本政策投資銀行が新たに100億円を出資して600億円の「ダイエー企業再建ファンド」を設立した。
官民一体の再建支援スキームが出来上がった結果、株価の急落はようやく止まり、反騰した。
今年上期の有利子負債は、不採算店の閉鎖やプランタン銀座、キャプテンクックの売却益などを原資に、オーエムシーカードを除くベースで1兆2355億円(前期末1兆6640億円)まで削減した。
12月に入り、子会社のバーガーショップ「ウェンディーズ」を展開するウェンコ・ジャパン、ファミレスのビッグボーイ・ジャパン、英国風パブ「HUB」を展開するハブなど外食チェーン事業を次々と売却した。
これらの売却益は計130億円程度とみられるが、巨額の有利子負債の圧縮には、まだまだ「焼け石に水」である。
福岡では球団と並ぶ「3点セット」のうち、ドームやホテルの売却も含め、地元企業に出資などの理解を求め幹部社員が奔走している。
ダイエーの12月の株価は、120−140円を何とかキープしている状態が続いている。
だが、肝心なのは歳末商戦の行方である。
「歳末商戦で増収をはかり、今期後半2%増で巻き返し、トータルで前期並みの増収率を達成できるのか。来年2月の決算を無事迎えられるかどうかに、ダイエーの命運がかかっている」(外資系証券アナリスト)
『価格破壊』のシンボルだったダイエー。年度内に全国にあるグループ全体の319店舗のうち、60店舗の閉鎖を進め、スリム化を図る。
一方で、自社開発専門店を集積させた「カテゴリー・バリュー・センター(CVC)」への改装店に期待をつなぐ。
「PAS(カジュアル衣料店)のように、見直しが必要なカテゴリーもあるが、自転車ショップやベビー用品、ツープライススーツなどは好調で、前年比100%以上の売り上げは見込めそうだ」(ダイエー広報)というが、消費者からは厳しい目が注がれている。
11月の既存店売上高は、家電の不調などで前年同月比1.0%減と一向に振るわない。
自らも長年のダイエー利用客という名古屋商科大の佐々木亨教授は、こう指摘する。
「売り場は急に変わらず、客層も付いていってない。CVCは延命治療の印象。立地も昔は一等地だった駅前店なども、車では不便で老朽化が進む。ゼミの学生などは『会社の名前を変えるべき』『外資と組んだ方がいい』と話している」
米ウォルマートが西友の筆頭株主となり、巨大外資の「黒船来襲」が本格化して、弱肉強食の「スーパー大戦争」の幕が切って落とされた。
佐々木氏は「好調なイオンやイトーヨーカ堂にダイエーの優良店を買い取ってもらい、『国策スーパー』としてウォルマート陣営の西友に対抗する選択肢もある」と大胆な提案を行う。
民間信用調査機関の流通担当アナリストは「2月決算は何とか乗り切るだろうが、春がヤマだろう。再建計画が順調に進まない場合、4月に創設される産業再生機構の第1号としてダイエーが解体される可能性もある」と大苦戦を予測する。
政府主導のダイエーの延命策がしばらく続く−とみる向きもある。
経営評論家の梶原一明氏は「そごうの破綻(はたん)は土地値上がり目当ての無理な出店計画という経営責任があった」として、ダイエー問題を解説する。
「ダイエーの場合、積極策が裏目に出たという同情的な見方が政府内の一部にある。衣食住に最も近い存在でもあり、破綻した場合、同規模の企業の10倍は国民に与える心理的不安が大きい」
来年、これ以上の不況感が広がれば、小泉内閣の命取りになる。
「平沼赳夫経産相も新年早々の倒産は避けたいところだろう。つぶすとしても、景気が上向いたタイミングでなければならない。西友が軌道に乗れば、ウォルマートの主導で西友とダイエーの業務提携も考えられるのではないか」(梶原氏)
流通再編の嵐が吹き荒れるなか、消費者やサポーターは孤軍奮闘の高木社長らに声援を送り、ダイエー再生を望む。