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ニューヨーク 12月24日(ブルームバーグ):数々の記録を残した2002年。決して記憶にとどめたくないものも多いが、さまざまな記録が塗り替えられた年だったことには変わりない。
ことし目立ったのは「最上級の形容詞」だ。「過去最大規模の」経営破たん、経営幹部への「最もずさんな」不正融資、そして「最も大胆な」会計詐欺と、派手な形容詞が目を引いた。これらすべてが、破たんした長距離通信会社ワールドコム1社にまつわる形容詞だったことも特記すべきだろう。
ワールドコムは7月21日、破産法の適用を申請した。総資産は1070億ドル(当時のレートで約12兆4300億円)。米企業の経営破たんとしては史上最大規模となった。同社はその4カ月後、90億ドルもの利益を水増ししていた事実を認め、米証券取引委員会(SEC)と和解。和解金額はSECの70年間の歴史で最高を記録した。
株式市況の低迷も続いた。株式相場の年間騰落率が3年連続でマイナスになるのは60年ぶりのことだ。
証券業界にとっては屈辱的な年でもあった。証券アナリストが有望でないと考える銘柄を推奨する、いわゆる利益相反問題が表面化したことだ。この問題をめぐり大手証券10社は今月、約14億ドルの罰金を支払って規制当局と和解することで合意した。
予想外、初めて
予想外の出来事もあった。7月24日のニューヨーク証券取引所の売買高は 28億株と過去最高を記録した。また、年間財政収支は1270億ドルの黒字(2000 年10月−01年9月)から1590億ドルの赤字(01年10月−02年9月)へと転落。その理由についても、ブッシュ政権の減税や、景気低迷、税収の落ち込みなどさまざまな説明がなされた。
初めての出来事もあった。エリザベス英女王による米連邦準備制度理事会(FRB)議長への爵位の授与だ。同女王は8月、金融システムの安定化に向けた功績を称え、グリーンスパンFRB議長に名誉爵位の「ナイト」を正式に授与した。
5社から4社へ
ことしはまた、新たな法律(企業規制強化法)、新たな規則(新規公開株の優先割り当ての禁止)、新たなトレンド(ストックオプション=自社株購入権=の費用計上)、新たな指針(企業情報の開示強化)、新たな概念(企業年金を考慮した決算)が生まれた年でもあった。
さらに「ビッグ・ファイブ」と言われた大手会計事務所5社は、エンロンの不正会計の発覚などをきっかけに顧客が流出したアーサー・アンダーセンが事実上の解体に追い込まれたことで4社となった。
企業による不正会計の露見も相次いだ。利益や売り上げの水増しのほか、光ファイバー網やエネルギーの虚偽取引、最高経営責任者(CEO)への巨額の未承認融資など、枚挙にいとまがないほどだ。
トレント・ロット共和党上院院内総務は、議会の新会期が始まる来年1月を前に辞任。アル・ゴア前副大統領は、2004年の大統領選への出馬を断念(恐らく)した。インサイダー取引疑惑に巻き込まれた「カリスマ主婦」として知られるマーサ・スチュアート氏は、物事には行き過ぎがあることを学んだ。
来年は、ことしほど「最上級の形容詞」が使われない年になるだろう。ただ、そうだからと言って、状況が改善しないという訳ではないことも付け加えておきたい。(キャロリン・ボーム)
(ボーム氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
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