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検証=FRB議長に「歴史の審判」迫る−バブル破裂後の治療に不安も [ブルームバーグ]
投稿者 あっしら 日時 2002 年 12 月 25 日 15:13:01:


ワシントン 12月24日(ブルームバーグ):「バブルとデフレーションの力学に関する理解を深める必要がある」―-。グリーンスパン連邦準備制度理事会(FRB)議長は19日の講演で、「金融政策により、バブルを阻止できると考えるのは幻想にすぎない」と、1990年代後半のバブル形成への同議長の責任を問う一部専門家の主張に強く反論する一方で、デフレ阻止のため、バブルからデフレに至るメカニズムを精査する姿勢を強調した。

  同議長は99年7月の講演以来、「バブルの予測は不可能で、かつ制御も困難なため、その破裂後の治療が肝要」という主張を繰り返してきた。ニューヨーク・エコノミック・クラブで19日行った講演で同議長は、この「バブル破裂後の治療に専念する」という政策に、「どのような歴史の審判が下ることがあっても」と前置きして、デフレへの取り組みを示した。

  同議長は2004年6月の議長任期満了を控えて、金融政策の総決算として、デフレ阻止に全力を尽くす決意を示した。議長は「バブルの予測も、金融政策によるバブルの緩やかな制御も不可能」と、事実上責任を回避したうえで、「歴史の審判」をなお意識する微妙な心理の揺れを見せた。

目先は楽観を前面に

  同議長は2000年1月にバルブ破裂を確認した後、大幅利下げを断行したが、 19日の講演では、「金融政策の効果はなお不明」と指摘。バブル破裂の次に来る恐れのあるデフレに強い警戒感を示した。さらに議長は今後の景気動向について、11月6日に0.50ポイントの利下げを実施する前から、景気が上昇軌道を取り戻すという見通しを持っていたことを繰り返すとともに、対イラク戦争をめぐる不透明感が除かれれば、景気は力強く上昇するとの楽観論を展開した。

  11月の大幅利下げは、イラク戦争をめぐる不透明感を背景に景気が想定外に落ち込む恐れがあることに対する保険という意味合いだ。FRBが記者用に配布したグリ-ンスパン議長の講演テキストは、16ページのうち、10ページ強をバブルとデフレ問題に割いたほか、5ページ強を景気動向とその見通しに充てた。景気動向・見通しでは明るい面を強調した個所が48行に上り、暗い面を指摘した36行を上回り、明るさを前面に押し出している。

  同議長は市場との対話で明るさと暗さの両面を指摘し、「建設的なあいまいさ」を醸成。強弱の微妙なさじ加減で方向性を示唆する。19日の講演で強弱のコメントを量的比較すると、楽観的な要素を強調する姿勢がにじみ出る。ただ、議長は「企業貸出の増加は設備が動意付く兆候かもしれない」と明るさを出す一方、「設備投資が動き出したと言い切るのは時期尚早」と慎重で、イラク戦争懸念で委縮した設備投資を勇気付けるための希望的観測の域を出ていない。

イラク解決しても、バブル後の構造問題残る

  24日発表の11月の耐久財受注は1.4%減(前月1.7%増)とマイナスに転じており、設備投資の先行きは不透明感が強い。一方、個人消費と住宅投資について、グリーンスパン議長は個人債務・可処分所得比率が過去最高水準にあるとしながらも、なお強気の見通しを堅持した。議長は家計の債務増大について、金融の技術革新に伴い個人の資金調達が容易になる一方、金融機関の融資担当者が信用リスクを把握しやすくなった点を挙げた。

  企業の債務残高について、議長は「全体の残高は減少していないものの、企業は現金比率を高めるとともに、短期債務から債券など長期債務に乗り換えている」と説明。企業の債務状況に関する一部の悲観論は行き過ぎと断言した。同議長はことし第3四半期の企業生産性が前年比で5.6%上昇と、30年ぶりの高い伸びを記録したことに言及。「地政学的なリスクなどが十分解消されれば、設備投資は顕著な回復を示すだろう」と楽観論を展開した。

  同議長は、景気低迷の原因を対イラク戦争懸念に集約しているが、バブル崩壊後の構造問題が解決されたわけではない。11月の製造業の設備稼働率は 73.8%で、昨年12月(73.0%)のボトムに比べ0.8ポイント上昇と、ほとんど回復していない。同稼働率はことし7月に74.3%と、極めて低い水準でピークをつけたあと、早くも0.5ポイント下落している。過剰設備を抱えた状態で、仮にイラク問題が短期間で解決されても、大きな押し上げ効果になるとは限らない。

逃げ水を追うような議長の景気回復見通し

  グリーンスパン議長は2000年1月にバブルの破裂を確認し、大幅利下げに踏み切った時点で、3カ月後には在庫調整の完了で、景気が上向くことを示唆。そして3月になると、今度はバブルに伴う過剰設備の問題を指摘して、回復見通しを先延ばしにしていた。ことし1月24日には、同月14日の講演で述べた「重大なリスク」が誤解を招いたとして、これを削除して、「景気はまさに上向きに転じつつある」と景気回復を宣言した。

  これで利下げを打ち止めにして、3月には景気のリスク判断もそれまでの「景気悪化」から「中立」に戻した。この時点では、個人消費の拡大に支えられて、設備投資に点火する道筋が示されたが、8月にはリスク判断が再度「景気悪化」に逆戻りし、11月には0.50ポイントの大幅利下げに追い込まれた。グリーンスパン議長が明るい見通しを示す一方で、日を追うごとに、目標が逃げ水のように遠ざかってきた。

  議長はバブル破裂後の調整を、利下げによる個人消費の押し上げでしのいでいるが、その分、企業部門の構造調整が長引いている恐れもある。議長は19 日の講演で、「もっぱらバブルの破裂後に是正行動をとる現行の金融政策に関する事後検証で、この政策が不十分と結論付けられれば、魅力のない選択肢しか残されないことになる」と、現行政策が失敗に終わるリスクも認識していることを示唆した。

グローバル化と生産性向上がバブル懸念を増幅

  もっともグリーンスパン議長は、たとえ現行政策が十分でないとの「歴史の審判」が下り、バブルを事前に認知し、その進行を阻止する方向に金融政策を転換したとしても、それが成功する可能性は小さい、と指摘。あくまでも、「現行政策が唯一の正しい方法」とする信念を貫いた。しかし、議長のバブル破裂後の治療にはデフレの恐怖がつきまとう。この恐怖をさらに増幅しているのが、同議長が信奉している経済のグローバル化と生産性の向上である。

  議長は19日の講演で、「貨幣と物価の関係を複雑化する要因が増えている」と指摘。その要因として、1)グローバル化に伴う供給力の国際市場への拡散、2)急速な技術革新に伴う潜在的な生産力の増強――を挙げた。「こうした供給力のシフトが貨幣と物価の関係に影響を与えている」と述べた。

  議長は、生産性の向上がニューエコノミーをもたらしたと真っ先に主張して、90年代後半の大幅な景気拡大の象徴的存在になったが、19日の講演では、「われわれの効率性を高めた技術革新そのものが、新たなチャレンジを突きつけている」と説明。生産性の向上が、デフレ要因に発展する危険性を認識していることを示唆した。議長は、経済の柔軟性の高まりに勇気付けられると指摘しながらも、その柔軟性をもたらしているグローバル化と技術革新が一方で複雑な問題を提起しているとし、「経済政策決定者は50年前の先達らよりもずっと多くの問題を抱えている」と締めくくった。

ワシントン 山広恒夫 Tsuneo Yamahiro

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