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BNPパリバ証券会社・経済調査部チ−フ・エコノミストの河野龍太郎さんは、景気循環のコストは大きいと考えるという点において、また、マクロ安定化政策の 有効性を認めるという点において、ケインズ主義的立場を強く支持しているとしながらも、「景気対策(=マクロ安定化政策)としての財政政策に対しては極めて警戒的だ」と語る。公的債務が無視できない水準まで膨張していることもあるが、それだけでは ない。財政政策は、「コストが大きすぎてマクロ安定化政策としてはそもそも不適切 だと考えている」からである。特に、景気対策の代名詞のようになった公共投資は、 所得分配政策の色彩が強すぎて、実質的にはマクロ安定化政策に名を借りた所得移転政策ではなかったか、と考えている。
<公共投資では、雇用は維持できない> もちろん、コストが大きくても、危機時には、マクロ安定化政策として財政支出の 拡大が容認される場合もありうる。しかし、「デフレを除去し、日本経済を持続的な成長軌道にのせるための手段として、財政政策を選択することは妥当ではない」と言う。規模を追求するとどうしても公共投資と言うことになるが、公共投資で一時的に、あるいは計算の上では成長率を押し上げても、効果はそのとき限りである。景気対策 として公共投資の拡大を主張する人々は、その雇用拡大効果を強調するが、「公共工事が終われば、次の公共工事を用意しない限り、雇用は維持できないのである」。これでは、日本海をコンクリートで埋め尽くすほどの公共投資が必要になる。そうし た公共投資は到底持続可能とは言えない。
<所得分配政策の色彩のあまりに強い公共投資> ここでいう持続可能性の問題は、単に公的債務の持続可能性の問題ではない。「所得分配政策の色彩のあまりに強い公共投資を続けてきたために、この先も継続してい くことが政治的に困難になっている」。日本経済の現状に即した政策を選択しようと するなら、政府の歳出を一定に保ちつつも、段階的に公共投資を削減し、国民全体に理解の得られる他の政府支出に転換していくことが必要であるとして、「デフレ除去策はや はり円安誘導しかない?」と言う。