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人通りの多い銀座にも「テナント募集」の看板が。奥には再開発の進む汐留地区の高層ビルが見える=東京都中央区で
テナント募集の看板が出ているビル
オフィスビルの仲介や市況の調査をしている三鬼商事によると、東京の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の大型ビルの平均空室率は11月末で7.22%。昨年12月より、約3ポイントも上がっている
「テナント募集中」。東京都心の一等地に立つビルに、こんな看板が目立ってきた。古くなったオフィスビルから店子が消えていく。IT(情報技術)対応の新しい超高層オフィスビルが次々と立ち上がり、供給過剰となる「2003年問題」が影を落とす。あおりを受けた銀座や日本橋のビルオーナーは悲鳴を上げる。
●IT化したが
中央区銀座1、2丁目。旧汐留操車場跡地に開発された「シオサイト」に移転した大手広告会社の電通旧本社近く。中小のオフィスビルが並ぶ。
大通りから一本入ると、建物入り口に「テナント募集」の看板が目立つ。約300メートル四方の一角に、数えると募集看板が10枚近くあった。6、7階建ての中小のビルが大半。4階建てのビルの半分が空室というケースも。建設後20年以上という古い物件が多い。
近くの不動産業者はぼやく。空室は、一昨年ごろから急増。「電通の移転に伴って、中小の関連会社や取引先が退去する動きが出ている」
築28年の6階建てオフィスビルも、いまは空室が一つだが、近く三つのテナントが退去予定という。
「不安だが仕方ないですね」とビルを所有する会社を家族で営む目黒区の女性(45)は話す。
店子の仕事環境をよくしようと2年ほど前に、インターネット用の光ファイバーを整備した。でも、店子は去る。「限界はあるけれど、小規模なりに個人や小さい会社が使いやすい物件にしていくしかないですね」
●賃料値下げも
汐留、六本木6丁目、品川などの再開発が完成しオフィスビルの供給がだぶつく2003年問題。銀座で築30年の6階建て自宅兼オフィスビルを所有する男性(35)は、2年ほど前から賃料を相場より1割ほど低い1坪(約3.3平方メートル)約1万3000円に下げたら、9部屋はすべて埋まった。だが、古いビルを売って、広く天井が高いなど条件の良い物件を購入することを検討中だ。地の利の悪い古いビルのある場所は、地価も下がる。地価が下がれば、賃料も安くなる。今年の基準地価で、中央区京橋の大通りに面したビルのある土地と、通り一本入ったビルとでは、約50メートル離れただけで1平方メートル当たり約600万円も違った。
●さらに増加
古くからオフィスビルが並ぶ中央区日本橋や千代田区神田も状況は同じだ。駅から徒歩5分以上離れた古い物件では、とくに空きが目立つ。日本橋の不動産業者は「2003年問題は本社移転など大規模物件が中心だが、空きがさらに増える可能性はある」と心配する。
銀座の不動産業者は「地価が高騰しローン金利も高かったバブル期に中古ビルを購入していると、賃料収入が減って金融機関に利子すら払えていないオーナーも多い」。
ビル所有者や不動産業者からは、ため息ばかりが漏れた。
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事務所ビルの空室率
オフィスビルの仲介や市況の調査をしている三鬼商事によると、東京の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の大型ビルの平均空室率は11月末で7.22%。昨年12月より、約3ポイントも上がっている。小型ビルも7%台で推移。大阪や名古屋はさらに空室率が高い。東京の区別に見ると、銀座や日本橋を抱える中央区は8.47%、港区が8.44%と空室率が高くなっている。 (17:12)