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コメルツ証券会社東京支店・ファンダメンタルリサ−チ部ストラテジストの宮島秀直さんは、「日本企業のリストラ・コスト(特損)は2002年3月の 3兆円をピークに、2003年3月には8000億円、2004年 3月には6000億円程度と、徐々に減少して行く見込みだ」と語る。 これは、日本企業の2000年以降のリストラ加速を評価 して個別銘柄を積極的にピックアップしてきた、主に米・ 英系の大手年金、グローバル・バリュー投信などの日本株投資意欲を徐々に損なう可能性があると言う。「1社でも多くの上場企業がリストラで実績を上げることは、そのまま外国投資家の新たな日本株買いにつながってきただけに、日本企業の間で”リストラ疲弊感”が漂い始めたことは、表面上の増益率の減少以上に株価形成にとっては深刻な影響を与えることが懸念される」
<「固定費/経常利益率」は、99年45%から27%へ> そこで宮島さんは、「支払利息」「減価償却」に「労務費」を加えた”固定費”が実額ベースで99年を100とした場合に、現在までにどの程度削られたかをセクター別に表したグラフを作成した。それによると、鉄鋼、重工業、造船、石油などが過去3年間で20%以上の削減を行ったことが分かる。自動車、精密機械、薬品、化学など17%以上の固定費削減を実現したセクターの収益は平均を大きく上回っていると同時に、「株価の相対パフォーマンスも良好である」。一方、食品、電機、通信など、「時価総額が大きいセクターでリストラ努力が停滞しており、株価にもその影響が現れている」と言う。しかし、過去3年間で余りに急速に固定費を削ったことから、削減率16%以上(全産業平均の削減率+5%)のセクターにおける「固定費/経常利益率」は2002年3月に30%を割り込み、戦後最低の水準に達した。2003年3月には、「27%にまで低下する」と予想している。99年の45%から27%へ、「乾いた雑巾を絞るリストラ」を行ったこれらのセクターのリストラ・ポテンシャルはそろそろ限界に達する、と見ている。
<成長しつつ大胆なリストラ続けるIBM型企業が出るか注目> 従って、今後も従来通りのリストラ効果を継続しようと思えば、「現時点でリストラに遅れを取っている食品、電機、通信、保険、不動産、鉄道といった産業が、より本格的に取り組む必要がある」と言う。しかし、米国企業を除き、欧州や日本の電機、通信産業は、ハイテク・先端技術でライバル企業と熾烈な競争関係にあることから、なかなか大胆なリストラを行わない傾向が強い。「成長しながら大胆なリストラを続けるハイテク産業」の代表として、過去12年間に従業員を50%削減し、工場を3分の1にまで削ったIBMのような英断を下せるハイテク企業(特に、総合電機セクター)がこれから出るかが、「リストラ優等国」という切り口での日本株の投資魅力を維持する鍵を握る」と見ている。