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いよいよ、ゼネコンの選別・淘汰(とうた)が始まる。過剰債務企業の生死を判別する『閻魔(えんま)大王』こと産業再生機構が不良債権の買い取り基準をめぐり、国土交通省はゼネコン独自の基準を策定。条件に「事業規模の縮小」と「経営統合・事業再編」の高いハードルを設定したのだ。条件をクリアできないと、株式市場などで「再生不能」の烙印(らくいん)を押される。金融支援で延命を図ってきた『51社リスト』の熊谷組、ハザマなど大窮地の借金棒引き組ゼネコンは、ハードルを越えられるのか。
来春の金融再生プログラムの始動を前に、政府の産業再生・雇用対策戦略本部は19日に、再生機構による不良債権買い取り基準に関する基本指針を取りまとめる予定だが、この中に業種別指針として、国土交通省が検討したゼネコン独自の基準が盛り込まれる。
18日までに固まった基準案だと、(1)過剰供給構造の是正(2)再生の確実性(3)生産性の向上−をゼネコン固有の条件として付け加えるという。
ハザマ
さらに、過剰供給構造の是正では、具体的に「事業規模の縮小」と「2社以上の企業統合・事業再編」を条件として明記。再生の確実性では、再建計画の終了時、収益性などの経営指標が「建設業界の平均に近づく」ことを求めている。
スーパーゼネコン幹部は、国交省の決断をズバリとこう解説する。
「公共投資の削減で建設市場のパイが縮小するなか、過剰債務を抱えるゼネコンがひしめき、体力消耗戦を繰り広げている業界の是正を狙ったものだ。特に、借金棒引き(債権放棄)や法的整理で倒産し、借金が減って身軽になった会社が、ダンピング受注を仕掛け、健全ゼネコンまで共倒れとなりかねない状況に歯止めをかけるには、企業数を減らすしかない」
「さらに、借金棒引き組の経営再建計画が、最長で10年間に及ぶなど実現性が疑問視され、市場でまったく信認されていないことにも配慮した。独自基準が、棒引き組ゼネコンを狙い撃ちし、暗にその退場を付きつけていることは明白だ」
狙い撃ちされた棒引き組ゼネコンは、この条件をクリアできるのか。
株式市場が最も厳しいと見なしているのが、株価が一時9円の1ケタをつけた熊谷組だ。
平成14年3月期決算で、メーンの三井住友銀行を中心に総額4300億円の棒引きを受けたが、再建計画は10年後の24年3月にまで及ぶ。小泉純一郎首相は「17年3月までに不良債権問題にケリをつける」と明言しており、この再建計画では間に合わない。
外資系証券ゼネコン担当アナリストの評価は辛辣(しんらつ)だ。
「不採算の建築、不動産部門を分離し、得意の土木事業に特化することで『事業規模を縮小』するか、メーンバンクが同じで、業務提携を結んだ最大手、鹿島との『事業統合』など、新たな再建計画策定が不可避だ」
「ただ、公共事業の先細りが続く土木部門で果たして生き残れるのか。鹿島も業務提携後に株価が下落するという痛い経験をしており、資本提携、ましてや事業統合にはまったく腰が引けている。クリアすべきハードルはかなり高い」
株価が10円台のハザマ、20円台の飛島建設も状況は厳しい。両社はともにみずほコーポレート銀行がメーンで、『事業統合』の選択肢は残されているが、「典型的な負け組同士の弱者連合で、『再生の確実性』という条件をクリアできるとは思えない」(業界筋)との見方が大勢だ。
不良債権処理加速をめぐる思惑から、株価低迷に歯止めがかからないうえ、発注者や資材納入業者の間に信用不安も広がっている。棒引き組ゼネコンに残された時間はわずかしかない。