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クレディ・スイス・ファ−スト・ボストン証券会社(CSFB)グロ−バル為替調査部 (チ−フ・マクロ・ストラテジスト:田中泰輔さん、ストラテジスト:小笠原悟さん、佐藤潮美さん)は、2003年の展望について、「引き続き円高 ・ドル安のリスクを警戒している」としながらも、次のような見通しを示す。「これ以上の円高は日本にとって駄目押し的なデフレ作用をもたら し、日本に実質的なリフレ政策の採用を迫ることになろう。より長期で は、デフレ克服への期待の程度に応じて、大幅な円安に向かう潜在的 圧力が蓄積されている」
<日銀政策が発揮されれば、空前の過剰流動性が動き出す> 同社が予想するように、2003年に日本経済が一層の苦境に陥り、しか も米FRBが大胆なリフレ策を採用するなら、「日銀が年後半にも政策転 換を余儀なくされる可能性が高まる」と見ている。日銀政策が信認を得 て、効果を発揮し始めるということは、デフレ下で死蔵された国内マネー が正常な動意を取り戻すことに他ならない。日銀が供給してきた膨大な 流動性が、仮に95年当時の貨幣乗数を回復した場合にどの程度の過 剰流動性になって現れるかを、試算上の「マーシャルのK」として示して みた。その結果、累積された過剰流動性の規模は、狂乱インフレに至 った70年代前半、バブルを招いた80年代後半をはるかに凌駕する、 空前の水準に「潜在的に」達していることがわかると言う。「過剰流動性 は、財市場に流れてインフレを高進させるか、金融市場に滞留して低金利をもたらすか、海外に流出するかして、円安要因になる」
<ベースマネー供給の相対比と整合する円水準は200円超> また、日本と海外のベースマネー供給の相対比と整合する円の水準は 「対ドルに換算して、すでに200円を超えている」と言う。しかし、長期化するデフレの下で、「流動性のわな」に陥った日本マネーは、内外ファン ダメンタルズ格差にも日銀政策にも感応性を失っており、「円安になる メカニズムも働かない」。つまり、「デフレが続く限り、過剰流動性は『潜在的』なままであり、「顕在化」することはない。逆に、「日銀のリフレ策 へのコミットメントが信認を得る程度に応じて、円安圧力は実際に顕在 化しうる」と言う。
<1年では円高見通しだが、2〜5年では大幅円安の可能性> 2003年の見通しは、円高リスクを警戒し、ドル・円の3カ月後は115円、 12カ月後は108円との予想を掲げている。この円高は日本のデフレ深化 の反映であり、同時に、円高それ自体が駄目押し的なデフレ作用をおよ ぼすため、必然的に政府・日銀を政策転換へ追い込む面がある。つまり、 同社では、「1年スパンでは円高見通しであっても、2〜5年スパンのどこ か(政策転換のタイミングと内容次第)で大幅な円安に振れる可能性を 注視し続けている」