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[東京 11日 ロイター] 日銀の山口副総裁は、危機的なデフレ・スパイラルに陥るリスクは、金融システムにどういうことが起きていくのかということと切っても切れない問題だとし、金融システムの動揺を伴うデフレスパイラルを日銀は全力で阻止するとした。また、デフレの解消は、需要強化により需給ギャップを縮小させ、成長率を上げた結果だととし、需要強化策を最優先させるべきだとの考えを示した。
政府・日銀は、さらなる政策協調を行うべきだとの議論については、具体的な政策の提示を求めた。
雑誌やインターネット、メールマガジンなどで議論を展開しているNPO(非営利団体)、言論NPOのインタビューに答えたもの。
<現在のマイルドな物価下落が貨幣的な現象との見方は懐疑的>
デフレの原因について、山口副総裁は、「バブル崩壊以後の低成長の中で需給ギャップが累積的に拡大してきている。そのような状態が続いている間に、グローバリゼーションの下でモノの価格に強い低下圧力がかかる、また世界的に一種のバブルの崩壊が起き、先進国共通に財価格の下落傾向が顕著になってきている。これらが二重写しになっている状態ではないかと思う」と分析している。
内閣府や財務省からは、“今のデフレは極めて貨幣的な現象、マネー的な現象だ。これは金融政策で対応ができる”という指摘があることについて、山口副総裁は、「現在の日本の消費者物価の下落率は、年間で0.8%ないし0.9%で、この程度のいわばマイルドな物価下落について金融的な現象、通貨的な現象が支配的な影響を及ぼしているという見方については、私はかなり懐疑的だ」と反論。そのうえで、現状について、1)マネタリー・ベースが年間2―3割という高い伸びを示したにもかかわらず、物価は何の反応も示していない、2)日銀が銀行システムに対する準備金の供給を増やせば、広義マネーが比例的に増えるはずだが、金融仲介機能が弱っている日本の現実は全く異なっている、3)金利の低下余地がなくなっている状況で、マネタリー・ベースという流動性だけ増やし続けても、なかなか経済活動の面に効果が出てきにくい―――と説明した。
また、山口副総裁は、プラスの経済成長と比較的安定した物価の下落という現状を踏まえ、「現状が恐慌に近いデフレ・スパイラルになっているという理解だとすれば、私にはよくわからない理解だ」と述べた。
そのうえで、危機的なデフレ・スパイラルに陥るリスクについて、「金融システムにどういうことが起きていくのかということと切っても切れない問題ではないかと思う。過去、本物のデフレ・スパイラルになっていった場合は、ほとんどの場合、金融システム上の本当の危機というものが同時に進行していることが多かったからだ」との認識を示した。
また、同副総裁は、「金融システムが様々な問題を抱えているということは既に明白なことであり、それが文字通りの危機にならないように、政府、日本銀行、力を合わせて金融システムの安定を早期に取り戻すということがぜひとも必要なことではないかと思っている」とし、「金融システムの動揺を伴うデフレ・スパイラルの危険に対しては、日本銀行は全力を挙げてこれを阻止しなければならないと考えている」と語った。
(12/11 20:22)