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海外でも貸し渋り・貸し剥がし?! 大手銀行の海外での貸出が激減している。銀行国有化に直結する自己資本比率の低下を回避するため、総資産の圧縮を急いでいるもので、国内で批判されている「貸し渋り・貸し剥がし」と同じ構図だ。国有化から逃れる究極の手段である海外業務からの撤退の準備との声も聞こえてくる。
日銀の統計などによると、邦銀海外支店の貸出残高は今年8月末現在、21兆6600億円で昨年末に比べ22.5%、6兆円強も減少している。大手銀行は資産圧縮を一段と強化しており、今年の減少額が10兆円を超える可能性があり、減少幅は、金融危機が吹き荒れた平成11年以来の規模となる。
各銀行は国内でも貸出を削減している。全国銀行協会の預金・貸出金速報によると、全国銀行の11月末現在の貸出残高は前年同月比3.3%減の427兆4108億円で、貸出の減少は平成11年4月以来44カ月連続にも達している。ただ、昨年末に比べた減少率は3.8%で、海外での減少ピッチは国内よりも急激だ。
貸出が急減する一方で、外債保有は急増。邦銀の外債保有残高は10月末現在、約42兆円となり、昨年末に比べ2兆円以上増えた。国内でも貸出を減らす一方で、国債保有を増やしており、海外でもまったく同じ現象が起きている。
海外業務を展開する大手銀が貸出の削減を急いでいるのは、自己資本比率の低下を防ぐのが狙い。特に、竹中平蔵金融・経済財政担当相が銀行国有化を視野に入れた「金融再生プログラム」を打ち出したことで、貸出削減が一段と加速させるのは確実だ。
再生プログラムは「資産査定や自己資本の中身の厳格化によって、銀行を自己資本不足に追い込み、自己資本比率が国際業務を行う銀行に義務付けられた8%を割り込んだ段階で、公的資金を再注入し、国有化するのが狙い」(金融アナリスト)とされる。
大手銀は増資などにより自己資本の増強を模索する一方、分母である総資産の大部分を占める貸出を圧縮。8%割れを回避しようと懸命になっているわけだ。
海外貸出が国内よりも急減しているのは、「不動産担保融資が中心の国内とは違い、プロジェクトごとに評価し、複数の銀行が組む協調融資が中心で、邦銀は苦手にしている。海外での邦銀の存在感は薄い」(米系外銀幹部)という事情も影響しているようだ。
もっとも、苦手の海外業務から全面撤退すれば、自己資本比率は国内基準の4%をクリアすればいいだけになる。強引な貸し渋り・貸し剥がしを強行しなくても、国有化は回避できる。海外貸出の圧縮が全面撤退へと発展する可能性は十分にありそうだ。