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メガバンクの不振をよそに、きっちりと債権回収し、利益を上げる新生銀行。泣かされた企業は続々…
あこぎな貸し剥(は)がしで非難轟々(ごうごう)の新生銀行が26日夕、9月中間決算で約300億円にのぼる利益を発表する。国に劣化した債権を買い取らせる「瑕疵(かし)担保条項」の特約行使でそごうやマイカルなどを破綻(はたん)に追い込み、メーンバンクの責任放棄で大企業を容赦なく潰(つぶ)す…。昨25日の決算発表で4大銀行の試練が鮮明になるなか、竹中平蔵金融・経済財政担当相お気に入りの新生銀が図々しくも、来年2月末に切れる特約延長を要請する動きがある。背景には「産業再生機構」を立ち上げて問題企業の延命を図ろうとする国側の裏事情も見え隠れする。
新生銀の9月中間決算は、26日午後4時半からの予定で正式発表される。事前の業績見通しでは、単体の中間最終利益は299億円。通期では586億円を見込んでいる。
前日に決算発表したメガバンクを含む大手銀行の大半が不良債権処理に苦しむのをよそに、この高収益である。
不良債権額も3月末に比べて約28%減の7938億円を見込むなど、積極的な経営姿勢は際立っている。
決算発表に対し、大手銀幹部は「なりふり構わずに、あれだけ超ドライに、あこぎな貸し剥しをすれば利益は出ますよ」と怒った口調で言う。
市場からも「冷酷な金融ビジネスとはいえ、常識外れ。悪代官の見本みたいなもの。銀行は信用が第一。いつまでもうまく行くとは限らない」と批判の声が上がる。
これまで新生銀は融資先企業に強硬に貸し剥がしを迫り、そごうやマイカル、ライフ、第一ホテルなど大企業を次々と破綻に追い込んできた。
前身の旧日本長期信用銀行以来、筆頭株主だった不動産担保融資大手「ファーストクレジット」の会社更生法を頭越しに申請、破綻させた。
メーンバンクとしての再生の責任を放棄した形で結局、東京スター銀行を傘下に置く米最大級の投資会社「ローンスター」が先週の22日、スポンサー(支援企業)に決まったばかり。
スポンサー選定の過程で、新生銀が候補企業に「将来的にファーストクレジットを買い戻したい」と接触を図っていたことも指摘されている。
新生銀は過剰債務企業『51社リスト』の1つのダイエーにも、融資残高約800億円のうち7割を年内に返済するよう強く迫っている。
中小企業向け無担保ローンにも参入、1兆円以上の上場益を得るため、来年度には株式上場を目指すなど、飛ぶ鳥を落とす勢いの新生銀の「原動力」となっているのが、言わずと知れた悪名高き瑕疵担保条項である。
瑕疵担保条項とは、旧長銀が国から米投資会社リップルウッド・ホールディングスが中心の投資組合にわずか10億円で売却された際に結ばれた特約である。
債権の価値が簿価から2割以上目減り(劣化)すれば、その債権を国の預金保険機構(預保)に売却できる。新生銀が特約を行使し、預保に買い取らせた債権は総額6000億円に達するという。
契約の是非はともかく、特約行使は正当な行為だが、「特約を盾に融資先に全額返済を迫り、困り果てたメーン銀行に肩代わり返済させる」(外資系投資会社幹部)手法が批判を浴びてきたのも事実である。
その瑕疵担保条項は来年2月末で期限が切れる。その後、大口融資先企業が破綻すると、新生銀が損失をかぶる恐れが出てくる。
「実は、新生銀内に期限延長を要請しようという動きがある」と語るのは、ある金融ジャーナリストである。
実はこの話、金融当局サイドにとっても悪い話ではないというのだ。
大きなカギを握るのは、企業の生死を判定する『閻魔(えんま)大王』(塩川正十郎財務相命名)こと「産業再生機構」の存在である。
金融再生プログラムは、竹中氏が推進する不良債権処理加速のハードランディング路線である一方で、財務省主導の産業再生機構は閻魔大王とは名ばかりである。
「政治銘柄化したり重大な飛ばしがあるなど、潰せない事情がある問題企業」(永田町関係者)の不良債権を「塩漬け」して延命させることになるとの見方も根強い。
そこで、ネックとなりそうなのが新生銀行の存在なのだ。
「産業再生機構の発足は早くても来年4月。それまでに新生銀が駆け込み的に特約を行使すると、生かしたい問題企業まで破綻に追い込まれ、金融当局が思い描く産業再生の全体の枠組みが壊れてしまう。『期限を延長するのでヘタに動かないでほしい』と考えても不思議ではない」(前出の金融ジャーナリスト)
産業再生機構が買い取るのは、メーンバンク以外の問題債権がミソ。
新生銀は多くの問題企業で準メーンとなっており、発足後は大手を振って、債権を買ってもらえるというわけだ。
金融アナリストはこうも解説を加える。
「国は当時、(期限切れの)来年2月末には日本経済が立ち直っていると考えていたが、甘い見通しだった。リスクを取りたくない金融当局者は、政府の不良債権問題の終結である平成16年度末ごろまで期限を延長することも考えられる」
新生銀行側は夕刊フジの取材に、瑕疵担保条項の期限延長の意向は「持っていない」(広報部)、当局への要請や交渉についても「一切ない」(同)と否定している。
だが、金融行政の無責任と迷走を見ると、何が起こっても不思議ではない。国側の対応が改めて注目される。
新生銀行について、竹中氏は「一時、国有化して不良債権を分離し、優良な銀行に生まれ変わった」とベタボメしている。
金融再生プログラムによってメガバンクの一部を国有化し、第2、第3の長銀を作ろうとしているのでは、との疑念も株式市場に沸く。
これが、東京三菱フィナンシャルグループを独り勝ちとするメガバンクの「1強3弱」の株価危機に象徴されている。
不良債権処理の十字架を背負わされたメガバンクなど大手銀は、新生銀顔負けの貸し渋りや貸し剥がしを進める。
一部の問題企業が産業再生機構で恣意的に延命される一方、その他の企業への風当たりは一段と厳しくなりそうだ。