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米国は、イラク攻撃さえなければ、90年代の日本の失敗を教訓に、順調に回復に向かう。
内外政治経済・短期金融市場の動向橘田週間レポート 平成14年11月25日号
http://www.tokyotanshi.co.jp
l ●2000年以降バブル崩壊を受けて一方的な下落を続けてきた米国株式市場では、先週以降相場の流れにはっきり変化が出てきた。欧米のアナリストには米国景気の回復を唱える人達が多くなった●
世界の歴史を変えたと言われる昨年9月の同時テロによって、米国ダウ平均株価は9月21日にテロ後の最安値となる8,235ドルをつけた。その後今年3月12日には1万635ドルまで急回復して、米国経済は在庫の積み上げなどを中心に順調に回復するのではないかとの見方が広まったが、結局景気回復は短期に終わり、それは楽観的な予測となってしまった。
景気回復の先行き見通しに暗い影を投げかけたのが、政府高官による「ブッシュ大統領はイラク攻撃を準備中である」という一言であった。
企業経営者の間では戦争となれば「株式はさらに低下し、景気は悪化して経済はデフレ化もあり得るので、設備投資は先延ばしせざるを得ない」という懸念論が高まり、ダウ平均株価は崖を転がり落ちるように低下して、10月9日には遂に7, 286ドルまで3月高値から31%も急落してしまった。
その後、エンロンなどの企業会計疑惑なども加わり、消費者マインドの冷え込み、イラク攻撃の不安なども増幅し、これ以上景気が落ち込み株価がさらに下落すると、米国経済には日本のようにデフレスパイラルに陥る危険性も生まれてきた。
そうなれば、世界経済が不況につながる恐れも出てくる。こうした懸念を強く意識していたFRBのグリーンスパン議長は、11月6日のFOMCでFF金利を1. 25%、公定歩合を0.75%と、市場の予測を上回る0.50%の利下げを実施した。
公定歩合が1%を下回ったのは、FRBが記録を公表し始めた1950年以降で初めての異例な措置である。その後の米株式市場では大幅な利下げを評価する動きとならず、株価は乱高下を繰り返していた。
しかし、先週以降の米株式市場ではやや相場の流れが変化してきたようである。先週は一週間でダウ平均株価は2.6%、ナスダック総合指数は4.1%それぞれ上昇した。ダウ平均株価は7週連続で週間騰落率がプラスとなった。21日には11月6日につけた直近高値の8,771ドルを抜いた。夏に相場が急反発した時につけた8月22日の高値9,053ドルを超えられるかどうかが今週以降の節目となる。
ナスダック総合指数はすでに8月の高値を超えており、相場の先行きを楽観視する向きが増えてきている。21日のNY証券取引所での株式の売買高(最近では一日当たり14億株前後の低調な売買が続いていたが)は、3〜4年前の好調時の20億株台を突破した。活発な売買を伴って株価が上昇しただけに、相場の基調は強いとの見方が市場に広がり、「相場の流れは変わりつつある」との声が聞かれた。
黒字転換したヒューレット・パッカードの四半期決算を受けて企業業績に対する悲観論が薄れたことや、イラク攻撃の可能性については実際に問題になるのは12月下旬以降と予想されることから、目先はさほど心配する必要はないとの見方が広がってきている。
当レポートの先週号では、最近、欧米のエコノミストによる米景気の見通しについて景気の回復論を唱える人達が多くなってきていることを指摘した。
これは、ここ2〜3年殆どのアナリストが米国景気の悪化のみを唱えてきていただけに、景気の回復という見方は非常に喜ばしいことである。
先週の米株式の上昇は、市場を動かす投資家が景気の回復感を肌で感じて株式を買い、相場を上昇させた。その意義は大きいと言えよう。
l ●今回の利下げについて、利下げ直後にはあまり好評価しなかったエコノミストも、FRBの積極的利下げの効果が来春には出てくるとの発言をし始めた●
先週号の当レポートでは、米国経済に対してブル派が現われてきたことを紹介した。特に先週の株式市場では、FRBが実施した積極的な利下げによる景気回復の効果とか、政府による財政支出拡大の効果を評価した発言をするエコノミスト達が多くなってきた。
11月6日のFRBによる積極的利下げの決定は時宜に適ったものであって、これによって米国景気には6ヵ月後に強い効果が出てくるであろうとの好評価を示している
その評価とは「米国の生産性は直近でも4%の伸びと十分に高く、供給サイドに問題は見られないが、需要サイドの弱さを放置すると、米国経済は日本経済の二の舞となりかねず、デフレに突入しかねない。ここで日本のようにデフレスパイラル化しないため、デフレ防止に大いなる使命感をもって取り組んだFRBの動きには強い評価を与えたい。
今回の利下げにより長期金利の格差が拡大するので、はっきりした景気刺激効果があると考えられる。FF金利と米10年物国債利回りとの格差は景気の先行きを占う大切な 手がかりである。
すでに今回のFF金利0.5%引き下げによって、先月から拡大している利回り格差に弾みがついている。FRBが指摘した米景気の弱含みを脱却して、二番底も回避されることが示唆されている。
株式やジャンクボンドを含む社債のような高リスク資産に資金が流入し始めたことも、こうした楽観論を裏付ける。この資金流入によりクレジット・スプレッドは縮小した。マーケットが従来にも増して米経済の成長維持を確信していることを示すものである。FF金利が1.25%に低下したことで、高リスク資 産の魅力はさらに増すことになるであろう。
FRBはかねてから日本のデフレについての研究を続けてきた。その研究成果が今回の市場の予想を上回る大幅な利下げにつながったと言えよう。
FRBは今年6月、デフレ回避について『1990年台の日本の経験からの教訓』との論文を発表した。
その中で『インフレ率及び金利がゼロ近くまで下落し、デフレリスクが高い場合、金融・財政面の景気刺激策は標準的な経済予測手法によって妥当とされる水準以上に拡張的にしなければならない』と指摘している。
この指摘に対する答えが0.50%という大幅な利下げであり、0.25%の利下げではこの答えの主旨には沿えなかったのではなかろうか」という内容である。今回の0.50%という大幅な利下げによって、イラク攻撃のリスクという不確実性を取り除くことはできないであろうが、積極的に政策を動かしているFRBの行動は日本の教訓を活かしたものと考えられる。
デフレはインフレより性質が悪いことは以前指摘したが、デフレ下では経済は円滑に進展せず、構造調整は不可避である。FRB議長はデフレ防止のためにはゼロ金利も辞さないと発言しており、ゼロ金利下でもあっと驚くよう な非伝統的な金融緩和策をとって、資金を市場に潤沢に供給すると言明している。かつてFRBはインフレ時代にはインフレファイターであったが、現在のデフレ懸念時代にはデフレファイターに変わってきている。
日銀も見習うべき点が多々あるようである。米国のエコノミストの多くの間では今回の大幅利下げで、もしイラク攻撃がなかりせば 、来年3〜4月頃には景気回復効果が現われるとの見方が強い。
l ●11月の中間選挙でブッシュ政権が上下両院で議席の過半数を占めた意義は大きく、年末以降、新しいデフレ対応の財政策が発表されよう●
ところで最近、欧米のエコノミストの間では財政面から米国景気に効果が現われて、遅くとも来年下期には景気は回復に向かうであろうとの評価が高まっている。
その評価とは「米国経済は景気が回復に向かうと、景気後退の程度や長短に関係なく回復の勢いは常に力強いというのが定説となっていたが、今年も景気の足取りは定説通りになりそうにない。
2002年の景気低迷はバブルの弾けた株式市場が引き金となっていた。まだ株価は一段下げが予想される。
イラクとの開戦もあり得るとして国内では緊張が高まっている。消費関連指数も10月末には90年から91年の湾岸戦争以来の水準に落ち込んだ。消 費支出はGDPの3分の2を占めるだけに、景気に大きな影響を与える。米財務省は10月末に9月30日に終った2002年会計年度の連邦財政は約1,590億ドルの赤字に転落したと発表した。
2001年会計年度には1,250億ドルの黒字を計上しており、この一年間で3,000億ドル近くの支出超過に転じたことになる。膨大な額であり、景気刺激及び安定化を促す大きな力となろう。
米国が日本と同じデフレの道を辿る懸念もあるようであるが、景気配慮型の米国と引締めに振れている日本とでは財政の中身に大きな違いがある。米国には引き続き深刻な景気後退を回避するための政策的余地が大きい。
それにブッシュ政権が11月の中間選挙において上下両院で勝利した影響は実に大きい。昨年から今年にかけ、景気悪化を食い止めるための政策が打ち出せなかった背景には、上院で民主党が過半数を占めていたことがあり、共和党の提出したデフレ対応策がほとんど日の目を見ることがなかったことが景気を悪化させた大きな原因と言われていた。
しかし、これからは共和党が両院で過半数を占めたことで流れは変わって来よう。ブッシュ大統領は景気回復のための種々の法案を年末から来年初めに向けて提出していく予定である。
今後よほどのことがない限り、米景気はこの先半年ほど穏やかな成長を続けた後、2003年下期には2.5〜3.0%台程度の成長となろう。FRBは11月6日に市場の予想をはるかに超える0.50%の大幅な利下げを実施してデフレ防止への強い決意を示した。
ブッシュ大統領は11月の中間選挙の大勝利によって、議会で政治的主導権を手に入れた。とりあえず11月までの政治的空白期を、FRBの超金融緩和でデフレ進展を凌ぎ、12月から多くの政治的デフレ対応策を打ち出してこよう」という内容である。
ここ数ヵ月、根拠なき悲観に支配されていた米国経済はブッシュ政権を中心とする議会政治の歯車が正式に回転し出すことによって、悲観論は景気回復期待へと変わっていくことになろう。
米国では現在、設備投資が伸びないであろうとの悲観論が充満している。これは不確実性の拡大が大きな原因である。
米国によるイラク攻撃の可能性、さらには株価の下落と会計疑惑の後遺症などのリスクが高まるにつれて、企業の資金調達コストも上昇した。企業経営者は投資や雇用を控えている。雇用の悪化は消費者の購買力を弱め、消費は縮小し始めている。
こうした悲観論が今回のFRBの大幅利下げと政府の大幅財政支出によって解消に向かい始め、株式市場で景気回復が起こり得るとの見方を強めて株価が上昇したことは、米国経済にとっては大きい。それにブッシュ政権の政治的なデフレ対応策が次々と発表されれば、米国株の相場の流れは大きく変化していこう。
l ●米経済は地政学的リスクによって不透明感が強まり、景気回復に自信が持てない状況となっている。その原因は対イラク開戦である。いざ対イラク開戦となれば、悪材料はなくなり、短期決戦となれば大幅なドル高に●
過去数年間の円相場の流れをみてみると、偶数月に円安に振れる確率が高いという結果が出ている。今年12月も円安の流れが強まろう。一時、1ドル=119円台までつけた円 高・ドル安が終息に向かっている。日本の通貨当局は一時、円売り介入を真剣に考えたようである。こうした動きを見てとった投機筋は、このところ方々の態で逃げ散ったとうである。
円高が進み始めたのは10月末からであるが、円高を仕掛けたヘッジファンド勢は腰の入ったものでなく、短期売買主導で相場が動いた。ヘッジファンドも90年代のような資金力はないので、せいぜい1ヵ月程度、相場を動かすのが限度のようである。
先週22日の東京外為市場では円相場は1ドル=122円70銭で取引を終えた。これは3週間ぶりの円安・ドル高水準である。こうした円安の流れをつくるきっかけとなったのは政府与党が11月21日に骨格を固めた2002年度補正予算案である。
都市再生などの公共投資1兆5,000億円を充てるなど、約4兆2,000億円の歳出を追加し、税収不足の手当て分を含めた補正規模は約6兆2,000億円という内容である。市場では「実際に財政支出効果があるのは、公共投資の1兆5,000億円に災害復旧関連などの一部を加えた2兆円程度で、景気の下支え効果はあまり期待できない」という厳しい見方が強まった。
市場では10兆円規模の補正予算の要求が強いだけに、物足りなさが感じられる。さらに、米英系格付け会社フィッチ・レーティングスが、日本政府の円建国債をダブルAマイナスに格下げし、主要先進国で単独最下位に落ちたことが発表されたことが伝わると、円売り・ドル買いの勢いが一段と強くなって、円相場は1ドル=122円台後半へと下落した。
こうした日本国内での円安要因に加えて、米国では上記したように企業業績に対する悲観論が薄れ株式相場が持ち直しつつあるため、米国への投資資金流入が強まるとの見方から円安・ ドル高が進みやすい環境となっている。日本の輸出企業のほとんどすべては年末までの為替予約(先物のドル売り)を済ませていることも円売り・ドル買いを強めそうである。
市場の関心は、米国経済の先行き不透明感を離れて日本の不良債権問題に中心が移ってきている。2002年度の補正予算案の歳出追加額が約4兆2,000億円にとどまったことで、不良債権処理の加速が景気回復に悪影響を及ぼすのではないかとの見方が強まってきた。
その上に政府や日銀が景気判断を下方修正したことなどで、先行き円相場は弱含むとの見方も広がってきた。22日の東京外為市場では円相場が122円台半ばを上回る円安となってきたことで、市場では「円相場はドルの不安材料よりも円の不安材料の方が強く意識される流れに変わってきた」との円安の声が広まってきた。
しかし、円売り・ドル買いの動きは強まってきたものの、現状では円が急落する状況ともなっていない。対ドルでの下落速度は依然として鈍い状況が続いている。このところ米国では株価が持ち直しつつあり、利下げ直後に再燃した米経済への不安心理は薄らぎつつある上に、日本の経済も不良債権処理の加速を受けて悪化の気配が強まり、不安材料の表面化はこれから本番を迎える状況にある。
そうした円の不安材料が多い中でも市場参加者が積極的な円売り・ドル買いを決断できない背景には、米軍によるイラク攻撃という米経済の先行きへの不透明要因がぬぐい去れないことがある。いずれにせよ、イラク攻撃は経済への不確実要素が大きすぎて結論を出せないというのが、正直な答えではなかろうか。
当面の為替相場は米国の株価とか経済指標の動きをみながら、徐々に円安・ドル高が進んでいくものと考えられ、当面1ドル=121円から127円内での動きが続いていこう。ドル相場と米株式市場はイラク攻撃が実施された段階でドカンと大きく低下することは以前当レポートで指摘した。その時が双方とも絶好の投資タイミングであることには変わりはない。恐らくイラク開戦で地政学的リスクは吹き飛んで、悪材料は出尽くしとなるであろう。しかもイラク戦が6ヵ月程度の短期戦で終れば、ドル相場と米株式相場は大きく上昇することが考えられる。
しかし、日本ではその時点でも不良債権処理の加速で経済の不透明感は一段と強まっていよう。以前当レポートで、大袈裟な言い方かもしれないが という注釈付きで、来年大幅な円安の時代が訪れると申し上げたが、あるいは円相場の150〜180円の時代が訪れるかもしれない。
l ●米FRBはデフレ防止策として、FRBによる国債購入を通じて市場に流動性を供給する政策も考慮に入れているという。来年は世界の中央銀行による金融政策の流れは変化していこう●
米国では11月6日の利下げ以降、国債金利などに下げ止まり感が強まり始め、長期金利が上向きの様相を強めてきた。FRBの理事は、イラク戦争が長期化し、米経済の一段の後退が現実化した場合の米国の政策金利はゼロ%をとらざるを得ないし、デフレ懸念が発生した場合には、金利にこだわらずあらゆる手段を使って総需要を刺激すると表明した。これは一種のインフレ目標にあたる長期金利の上限の明示を提唱したものである。その対象国債としては、例えば残存期間2年間の国債が考えられるとしている。
国債の市場金利が上限を上回る場合、FRBは市場から国債を購入する必要が生じる。結果的にFRBは国債購入を通じて市場に流動性を供給することになり、国債金利が上昇するのを人為的に低く抑えることになる。企業の設備投資などを刺激する効果が期待で き、デフレを相殺するインフレ圧力も作り出せると言明している。
また、同理事はデフレを未然に防止するには、一定範囲内のインフレ率の達成もFRBが市場に公約することが有効であるとし、日銀が現在とっているゼロ金利の継続の公約より一段と踏み込んだデフレ防止策であるとしている。
米国の国債買い切り政策は来年中には実現するのではないかと、以前当レポートで指摘したことがあるが、イラク攻撃の開始で財政悪化がさらに進んで国債発行が拡大し、さらなる利下げでゼロ%時代が到来した時には、こうしたデフレ防止策は米国では勿論のこと日本でも実施せざるを得ないであろう。
日本ではデフレスパイラル化が進む中で長期金利は下げ止まり、短期金融市場では来年3月期末越えの資金が不足し、日銀が供給枠を拡大しても期越え金利が上昇し始めてきている。さらに21日には手形買いオペで「銀行の誤入力」とは言われているものの、落札金利が上昇となるなどの動きも出てきた。不良債権処理の先延ばしは、結果的にゼロ%金利の世界の中での金利上昇という落し子を生む結果が出てきたようである。
いよいよ金利に変化時代が世界的に訪れて、日本では今まで死に体であった短期金融市場が復活してきそうである。
(東短リサーチ 特別顧問 橘田昭次 記 )
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1月ほど前のレポートとずいぶんと米国市場と見方が違ってきた。私が主張していた、10月10日NASDAQ底値説が、当面の底値となったかもしれない。一方日本はというと、依然先行き不透明、真っ暗。それもこれも、薄っぺらな小泉内閣のせいだ。内閣への不信感はつのる一方だ。日本はいったいどうなってしまう、米国が回復しても、日本は、崩壊への坂道を転げるだけ。
小泉支持68%の支持率は虚構にすぎない。この板の皆さんは、やたらとすぐに米国の陰謀で、日本が悪くなると思考されるが、米国の陰謀よりまず、愚かしい我々日本人の事実を認めることだ。なんでもかんでも米国の陰謀と考えるのは、北朝鮮と同類である証拠だ。我々は、金正日体制を打倒できない、可哀相な北朝鮮国民を馬鹿にできない。我々の未来を確保するには、まず、小泉内閣に対して反対の意見を言いつづけるしかない。Ddog