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「11月21日付の『ウォールストリート・ジャーナル』が、“日本政府が来週早々にもみずほグループとUFJグループの国有化へ向けて検討を開始する”という内容の記事を掲載したが、須田さんはこの記事をどの様に見るか、ぜひ、今日中にコメントがいただきたい−」
英系有力誌の東京支局に在籍する記者が、電話口でまくしたてる。昨日(11月21日)の夕刻以降、筆者の携帯電話はちょっとしたパニック状態に陥った。英米系列有力紙誌を中心に、前述したような電話が相次いだからだ。
前述のコメントにもある通り、11月21日(米東部時間)付の『ウォールストリート・ジャーナル(WSJ紙)』が「Financial Crisis Heats Up in Japan(日本で金融危機がヒートアップしている)」と題する記事を掲載した。
改めて説明するまでもないが、WSJ紙は米国においては最もクオリティの高い経済専門紙という評価を得ているメディアだ。
そのWSJ紙が、日本の一部メディアの報道を引用する形で、「Mizoho,UFJ−Countdown to Bank Nationalization(みずほ、UFJが国有化へ向けてカウントダウンが始まった)」と指摘してみせたのである。
みずほグループ役員が言う。
「一時は100円割れ(額面50円換算)という危機的状況にまで追い込まれてしまった当行の株価だが、ここ2日間は連続ストップ高になるなど、ようやくここにきて落ち着きを取り戻してきたと言っていいでしょう。それだけに、WSJ紙のそうした報道は、非常に意外だ。この記事を受けてマーケットがどのように反応するのか、まさに戦々恐々だ」
一方のJFJグループサイドは、「WSJの記事に関するリアクションは今のところまだ出ていない。それにしても、この微妙な時期にそうした記事が掲載されるとは、イヤでも何か特別な意図を感じざるを得ない」(UFJグループ幹部)
金融庁幹部が言う。
「ここ最近、マスコミ論調を中心に“銀行国有化”という言葉が一人歩きをしているフシがある。言葉を換えれば、マーケットも含めて多くの誤解があると言える。今の法制度の中では、九八年に長銀、日債銀に対してとられたような措置−特別公的管理(一時国有化)−については、それを講じることができなくなっているのです。従って、債務超過などで経営破綻をしない限り、その銀行の株式が無価値になることはあり得ないのです」
“国有化”という点で言えば、今とり得る措置は以下のようなケースだけだ。
つまり、小泉純一郎首相を議長とする“金融危機対応会議”が開かれ、その会議の中で当該金融機関の経営危機が金融システム全体に影響を及ぼすという認定が行われた上で、当該金融機関に対して公的資金投入が実施され自己資本の50%を超えて政府が保有する−というケースだけが、銀行国有化となりうるといっていいだろう。
「もっとも政府が保有する銀行の優先株が自己資本全体に占める割合は、大手行平均で27%程度になります。この優先株を普通株に転換すれば議決権が発生し、国がダントツの筆頭株主になることは明らかです。その結果、国有化という事態もありうるのです。しかしその転換基準については、明確な規定がないのです。金融庁としては、この転換基準の規定についてはこれから具体的な論議を開始し、年内にもその規定を策定する方向です」(金融庁幹部)
こうした状況から考えて、銀行国有化をめぐる議論は、来年以降に本格化することになりそうだ。
2002/11/22