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#常に過大な見積もりを行う傾向は既得権益を守るためのものだろうが、本来それをきちんと監査するべき機関(会計検査院など)が機能していないことこそが最大の問題かもしれない。
2002年11月21日発行 第219号 特別
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■■■ 日本国の研究
■■■ 不安との訣別/再生のカルテ
■■■ 編集長 猪瀬直樹
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Special Feature
【国土交通省との交通需要推計をめぐる闘い】
その闘いは10月29日の第26回委員会で、事実上の決着をみた。
11月1日、国土交通省道路局より道路関係四公団民営化推進委員会宛に、交
通需要推計に関して誤りを認めた以下の文書が提出された。
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道路関係四公団民営化推進委員会殿
国土交通省 道路局
交通需要推計について
交通需要推計に関して、種々のご指摘ありがとうございました。
別紙に示すとおり、一連の推計作業の中で、データの扱いに関して一部不適
切な部分がありましたので、当該部分については修正することといたしました。
今後とも、当該作業について最新の注意を払いつつ実施していく所存であり
ますので、引き続きご指導よろしくお願いいたします。
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第三回「国土交通省との往復書簡 <2> 10/2〜10/10 」
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<合理的なモデルにより、再計算を>
猪瀬直樹事務所
2002年10月2日(水)
8月14日付け国土交通省の回答(別紙1)P3(免許保有率)には、〔表
パラメータ推定結果〕が示されている。(以下、参照)
http://www.mlit.go.jp/road/kanren/suikei/b1.pdf
しかし、この推定結果については以下の問題があると思われる。
□ 免許保有率最大値は現実のデータからの推計ではなく、恣意的に「設定」
されている
パラメータはα、βに加えてRateMAX(免許保有率最大値)であるべきだが、
ここでは、「RateMAX : 免許保有率最大値(設定)(男性、女性とも0・95と
した)とされている。
免許保有率最大値は、現実のデータから「推計」して得られる客観的な値で
なくてはならないはずである。これを当局が恣意的な値を予め設定してしまう
のは推定結果の客観性、合理性に対して信頼性を損なうものであると考える。
しかも「男女ともに95%」というのは、客観的な根拠がないばかりか、あまり
にも高い数値ではないか。
なお、こうした「最大値」の恣意的な設定による過大需要推計は、全国各地
での水需要推計など道路以外の分野における需要推計においても指摘されてい
る問題である。
□ バブル前のデータから、今の時代の傾向をみるのはいかがなものか
さらに、二つのパラメータα、βの推計期間にも問題がある。
二つのパラメータα、βは、データ期間が1980年〜1993年という古いデータ
を用いて推計されている。将来需要の推計にあたって、10年以上も前の古いデー
タを用いて推計を行なうことは問題である。
さらにこれはバブル以前のデータであり、バブル以降長びく不況期の現在、
すでに時代は成長期から安定期に入ったという認識が一般的である現在から未
来の時代について、バブル時代の傾向から推測を試みるというのは、合理性を
欠くという世間の批判を免れないのではないか。
□ 推計する場合は、最新のデータから客観的に求めるべき
現在から未来を推測するには、直近のデータ(トレンドを見る場合でもスター
ト年度は1990年度とするのが適切である)を用いて推定するのが妥当であると
考える。もし、直近の最新データが使えないというなら、モデル自体がおかし
いのであって、新しいモデルを作り直すべきである。
いずれにせよ、バブル前の古いデータを用いたり、非常に高い値を予め恣意
的に設定する、という方法は科学的でなく、大変に問題があると考える。
よってすでにこの推定式により算出された推定結果には妥当性がなく、最新
のデータにもとづいたRateMAX(免許保有最大値)を含むパラメータの再推計を
求める。それができないのであれば、新たなモデルを検討されたい。
なお、10月4日(金)の委員会までに回答をいただきたい。
以上
■回答は道路関係四公団民営化推進委員会ホームページには公開されていない。
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<10月4日付「合理的なモデルにより、再計算を」に対する
国交省の回答について>
猪瀬直樹
2002年10月7日
□ たったひとつの要素でピークを10年も引き延ばす「免許保有率」のモデル
は合理的か
道路関係四公団民営化推進委員会は、国交省の交通需要推計に重大な欠陥が
数多く含まれていることを発足当初から指摘し、実証してきた。
その過程で、国交省の需要推計は、経済構造が変化しつつある1990年代以降
においてもバブル期のトレンドを多用しており、「右肩上がり」の過大な将来
推計になっていることが判明したため、トレンドモデルを用いた部分を現況値
に固定した場合の推計を依頼した。
その結果、
(1)免許保有率のみ国交省ケース/それ以外は現況値に固定して推計した場
合には、交通需要(乗用車)のピークは2020年。
(2)免許保有率を含めたすべてを現況値に固定して推計した場合には、交通
需要(乗用車)のピークは2010年。
となり、免許保有率の設定によってピークに10年も差が生じることが明らか
になった。つまり、国交省の交通需要推計においては、「免許保有率」のモデ
ルが結果におよぼす影響力が異常に大きく設定されているという事実が、現況
値に固定した場合の推計結果から明らかになったのである。
このことから、10月2日付で国交省へ質問書を送付し、(1)免許保有率の
設定の仕方に問題があるのではないか、(2)免許保有率が上がれば交通需要
も上がる、というモデル設定に問題があるのではないか、と指摘し回答を求め
た。(この質問に対して当方は、国交省から明確な回答を得られたとは認識し
ていない。したがって、以下の質問で再度、回答を求める)
以上のような問題意識から、9月20日(金)および10月4日(金)の委員会
で国交省ヒアリングを行い、委員会は、いま国交省が作業をすすめている標準
ケースの推計について、推計モデルを修正することなく9月末に高速利用総交
通量を算出し、区間別の利用交通量を10月中旬に算出するという国交省のスケ
ジュールを見直していただくよう、佐藤信秋道路局長に対して要求し、了承を
得た。
上記(1)および(2)の指摘をふまえて国交省として検討しなおし、修正
した正しい推計モデルにもとづいて需要予測をやり直すべきである。誤った推
計であるという指摘がありながら修正をせずに推計をつづけて、誤った推計結
果を公表すべきではないと当委員会は考える。国交省は現在の推計の問題点を
認識し、反証できない欠陥について至急、修正していただきたい。
□ 免許保有率最大値は現実のデータからの推計ではなく、恣意的に「設定」
されている
免許保有率を推計するモデルとして、国交省は、
y=RateMAX/〔1+α*exp(−βn)〕
の式であらわされるロジスティック曲線(成長率曲線)を用いている。しか
し、ロジスティック関数を決定する3つのパラメータ RateMAX、α、βの最適
予測値を求めるにあたり、国交省がRateMAX、つまり免許保有率最大値を0・95
とあらかじめ設定しているため、10月2日付の国交省に対する質問において、
『免許保有率最大値は、現実のデータから「推計」して得られる客観的な値で
なくてはならないはずである。これを当局が恣意的な値を予め設定してしまう
のは推定結果の客観性、合理性に対して信頼性を損なうものであると考える』
と疑義を呈したところである。
これに対し、国交省より「年齢階層別免許保有率の最も高い階層である25〜
29歳については、成長率曲線によりパラメータを推計しており、その中で免許
保有率を設定している」との回答を10月4日付でいただいたものの、『免許保
有率最大値は、現実のデータから「推計」して得られる客観的な値でなくては
ならないはず』という当方の質問に対する明確な回答は未だに得られていない。
□ バブル前のデータから、いまの時代の傾向をみるのはいかがなものか
10月4日付、国交省からの回答によると「構築されたモデルを用いて2000年
の免許保有率を推計すると、ほぼ実績値と同様であり、近年においても十分に
再現性が確保されている」とのことであるが、提出された「表1 免許保有率
の実績値と推計値(第一種、普通免許、25歳〜29歳、男女平均)」データの[1]
25歳〜29歳、[2]16歳〜24歳、[3]30歳〜69歳、[4]70歳以上、のそれぞれのバー
ジョンを男女別にご提出願いたい。また、推計値については2030年までご提示
願いたい。なお、数字は小数点以下二桁までとされたい。
□ 推計する場合は、最新のデータから客観的に求めるべき
10月2日付での当方の要求は、(1)最新のデータを用いること、(2)最
新のデータによって RateMAX(免許保有率最大値)を推計すること、(3)上
記(1)(2)をふまえたうえで、どのようなモデル設定が適切か国交省とし
て検討しなおし、修正した正しい推計モデルにもとづいて需要推計をやり直す
べき、の三点であった。
(1)の最新のデータを用いることについては、データ入手の制限により1980
年〜1993年のデータを用いたとのことであるが、この点については、最新のデー
タが使えないというのでは国交省が利用しているモデル自体が適当ではないの
ではないかという根本的な疑問が残る。
いずれにしても(2)の最新のデータによって RateMAX(免許保有率最大値)
を推計することについては、未だに明確な回答が得られていない状況である。
したがって、当方は10月2日付の質問事項に対する明確な回答をいただける
よう、引き続き求めるものである。
なお、この作業についてはある程度の時間を要することも想像されるが、仮
に時間がかかるとしても、正しい需要推計を出さなければ意味がない。時間内
に誤った推計結果を出すのではなく、適切な推計モデルに修正しなおし、正し
い需要推計結果の数値をできるだけ早期に公表されるよう求める。
以上
■回答は以下を参照
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/road/dai24/24siryou7.pdf
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