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監査法人が特記事項を付けた『105社リスト』企業は、倒産予備軍?
大和・あさひ銀のりそなの株価が一時額面割れし、UFJやみずほの株価が危険水域に突入するなど、市場は『大手銀国有化』を懸念する。破綻すると融資先の問題企業の大倒産を招くなか、「企業会計の大目付」監査法人が問題企業に警告を発する。平成14年3月期決算の監査報告書に「特記事項」が付いた『105社リスト』は、お騒がせの『51社リスト』『30社リスト』とも重複する。特記事項付き企業はこの1年で37社も倒産しており、「監査法人に倒産予備軍の引導を渡されたも同じ」(公認会計士)とされる105社とは…。
一般になじみの薄い「特記事項」とは、企業の業績に影響を与える問題について、監査法人が監査報告書に書く注意書きのことである。
上場企業が問題企業かどうかは、決算ごとに提出する有価証券報告書の中に入っている監査報告書が特記事項付きかどうかで判断できる。
民間信用調査機関の幹部は「昨年9月のマイカルから先月のニツセキハウス工業まで、倒産したのは37社。そのすべてに、それぞれ監査法人の特記事項が付いていた」としたうえで言う。
「監査法人は企業の大目付。37社的中の数字から、信用リスク情報としての特記事項は確度が高い−と経済・金融界で注目され始めた」
14年3月期決算では、105社に特記事項が付いた。『105社リスト』とも名前が重複する過剰債務企業の『51社リスト』、竹中平蔵金融・経済財政相の相棒で日銀OBの木村剛氏作成の問題企業『30社リスト』にも当然、特記事項が付いたところが多い。
『51社リスト』の存在が広く知られるようになってからの「倒産第1号」となったニツセキハウス工業には、14年3月期決算で、新日本監査法人による次のような特記事項が付いていた。
《主要株主及び主力金融機関に対して協力を要請していること、及び、この要請に対する主要株主及び主力金融機関の対応如何(いかん)が、次期以降の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性がある》
持って回った表現だが、分かりやすく言うと「銀行支援がなければ、倒産は間違いない」と倒産予備軍の太鼓判を押したようなものである。
実際、ニツセキハウスは先月末、倒産して東京地裁に民事再生法の適用を申請している。
長引く住宅不況で業績が伸び悩むなか、8年に当時の堀内三郎社長が失跡して対外信用を失ってしまい、経営が大きく傾いていった。
メーンバンクの旧第一勧銀(現みずほ)と縁の深かった福井県内の企業の傘下に入り再建を目指したが、ダメだった。
同じく『51社リスト』組では12年、主力の三井住友銀などから5300億円の債務免除を受けたゼネコン準大手の熊谷組にも、14年3月期の監査報告書に特記事項が付けられている。
長期低迷の株価は今月13日、ついに9円(額面50円)と1ケタ台に突入し、株式市場の「退場圧力」が強まる。
その熊谷組に付けられた特記事項はこうだ。
《新経営革新計画を策定し、取引金融機関の継続的支援を受けて鋭意遂行中。なお景気低迷、公共投資の削減等により建設業界を取り巻く環境は厳しさを増しているため、このような状況が当社の経営計画達成に影響を及ぼす可能性がある》
これは、監査法人の芹沢会計事務所が付けたもので、熊谷組の経営計画達成に「疑問符」を付けた格好である。
UFJ銀が2度目の金融支援を決め、株価急落の大きな引き金となったマンション分譲大手の藤和不動産には、東陽監査法人が素気ない特記事項を付けている。
《取引金融機関等の支援を受けて、グループを挙げて「経営再構築計画」を実行している》
主力のUFJ銀などから総額2300億円の支援を受けるが、10年度にも2870億円の債務免除を受けている。
今回と合わせると5170億円に上り、経営再建中のダイエーを超える最大の金融支援を受けることになった。
「企業は普通、不渡りを2回出せば倒産。債務免除も返済できなければ不渡りと同じ。藤和は2回も借金棒引きを受けて倒産しない。旧東海銀(現UFJ銀)出身の相良右章社長の居座り。アンフェアそのものだ」(中堅ゼネコン幹部)とのウラミ節も聞こえる。
「経済原理とはかけ離れた藤和の救済を見越して、監査法人は素気ない特記事項を付けたのだろう」(民間信用調査機関幹部)というのが、経済界の見立てである。
『51社リスト』組では、フジタ、長谷工コーポレーション、三井建設、住友建設、ハザマ、太平洋セメント、千代田化工建設、大京にも特記事項が付いている。
これらの企業を含めて、『105社リスト』には、倒産予備軍も含めた厳しい「烙印(らくいん)」が押される。
リスト自体は3月決算企業をまとめたものだから、不況3業種の流通などの2月決算企業などを含めると、監査法人が危ないと認定する特記事項付き企業はかなりの数に上るとみられる。
だが、特記事項の記載は今年限り。15年3月期からは企業監査に「ゴーイングコンサーン(企業の継続性)」規定が導入される。
特記事項のように曖昧な表現ではなく、破綻につながる可能性のある情報を監査法人がズバリ出す。
4大銀の国有化も企む竹中氏の不良債権処理加速策のハードランディングで、大倒産と大失業時代の到来が見込まれるなか、いよいよ監査法人が企業に引導を渡す時代を迎える。