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ヘッジファンドに注目が集まる中、投資の状況や投資にあたっての注意事項を
「デュー デリジェンス(詳細調査)」に詳しい弁護士のリチャード・ホロデック氏(注1)に聞いた。
以下、同氏からの説明内容。
【ヘッジファンドへの投資状況】
日本からヘッジファンドに投資しているのは、生損保・銀行などの機関投資家が中心で、その規模はおよそ120億ドル以上。ヘッジファンド業界全体は6000億ドル前後とされているので、2%程度と比率としてはまだ小さい。ヘッジファンドへ投資する方法としては2通りあり、個々のヘッジファンドの所有権そのものを購入する直接投資と、複数のヘッジファンドの所有権を購入しているひとつのファンド・オブ・ファンズに投資する間接投資に分けることができる。日本からの投資のほとんど(8割以上)は間接投資。間接投資のメリットは色々あり、その中には事務管理やドル・円の為替リスクのヘッジなどの簡略化、投資家ひとりの投資額が大きくなくても幅広いヘッジファンに投資でき高度なリスク分散が得られることなどがある。日本投資家が投資するヘッジファンド、あるいはヘッジファンドのファンド・オブ・ファンズは、ほとんどオフショアに設立されている。その理由は、オフショア地域は「中立的」な投資環境を提供し、投資にからむ税制、証券規制などの簡略が可能だからだ。
【ヘッジファンド投資の際の留意点】
@ ポートフォリオ全体の中でのヘッジファンド投資の位置付けを明確にする。例えば 、ヘッジファンドがポートフォリオ全体に加える付加利益率、付加変動率あるいは相関 性などを考慮しておくべき。ヘッジファンドの投資手法には11パターン(注2)あるとされているが、それぞれのポートフォリオに対しての影響力が異なるので、選択如何でポートフォリオ全体のリスクと利益率の比率が異なる。
A 投資前に幅広いデュー・デリジェンスを行ない、ファンドの運用上のリスクにとどまらず、事務管理能力などの調査を事前に行なうことが重要。特に、内部・外部のレバレッジの度合い、プライム・ブローカー、販売会社など周辺の第3者との潜在的利害相 反などをしっかりと把握することが大切である。ヘッジファンドは、運用手法に関して の情報開示が証券法上ミューチュアルファンドほど義務付けられていないため、トラッ クレコードを特に打診すべきである。ヘッジファンドは月次ベースでのパフォーマンスレポートを公表しているが、その投資対象銘柄の種類によって、NAVの計算方法が 独自でブラックボックス化されているケースもあるので注意が必要。
【破綻ヘッジファンドに関して】
10月初旬に米国ニュージャージー州を拠点とするBeacon Hill Asset Managementが運用するBristol Fundが破綻し、その損失額はファンドの運用資産の5割を超えた。同ファンドはモーゲージ・バック(不動産担抵)証券を買い持ちにし、そのヘッジとして米国債をショートポジションにしていた。8月末までの運用成績は順調そのもので、突然の破綻として話題を呼んだ。ただし、モーゲージ・バック証券など期限前償還のある債券をそうではない国債でヘッジするのは、ヘッジとして不完全。このような不完全なヘッジをしたファンドは突然大きく値崩れすることがままある。LTCMのケースも同様であった。
(注1) リチャード・ホロデック氏
ニューヨーク州弁護士で、1980年代より日本の大手金融機関向けのオフショアファンド設計やヘッジファンド紹介を手がける。日本語にも堪能で、特にヘッジファンドのデュー・デリジェンスに詳しい。連絡先(E−Mail、日本語可): rah@horodeck.com
(注2)ヘッジファンドの代表的投資手法
@ マーケット・ニュートラル・エクイティ A グローバル・トレーディング
B レラティブ・バリュー・アービトラージ C ロング/ショート・エクイティ
D オプション E トレーディング F レギュレーション DG ディストレスド・デット
H ショートオンリーI フィックスド・インカム・トレーディング J CTA
クイックより
何かの御参考になれば・・・