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[銀行株急落]「“荒療治”で金融は再生できない」
「竹中プラン」で本当に日本の金融は再生できるのか。疑念は強まる一方だ。
大手銀行株は十八日も下落が止まらず、UFJホールディングス(HD)株は終値で九万九〇〇〇円と十万円を割った。
旧商法の五十円額面に換算すれば九九円になる。BIS(国際決済銀行)基準の下で国際業務を営む銀行では、異例の百円割れである。
みずほHD、三井住友銀行、三菱東京フィナンシャル・グループの株価も、終値での今年の最安値を更新した。
竹中経済財政・金融相は金融再生プログラムを策定したが、余りに過激な手法が逆に市場の不安をかき立てている。
十分なデフレ対策を講じ、銀行への税制支援などを固めたうえで、不良債権処理を進めなければ、市場に追い詰められて破綻(はたん)した日本長期信用銀行や日本債券信用銀行の二の舞いになりかねない。
もともと市場では、竹中経財・金融相が以前に「大き過ぎてつぶせない銀行はない」と述べたこともあって、大手銀行への疑心暗鬼が広がっていた。
日本経団連の奥田碩会長が「四大銀行のうち二つはぜい弱」と発言したとの報道もあって株価下落に拍車をかけた。
金融再生プログラムには、経営支援が必要な銀行に公的資金を注入し、国がすでに持っている優先株を普通株に転換する方針などが盛り込まれている。
このため、銀行の国有化が近いという見方も広がり、不動産、流通などの過剰債務企業を融資先に抱えるUFJ、みずほ株などが狙い撃ちされた格好だ。
まだ、再生プログラムの「作業工程表」も出来ていないのに、市場の混乱が先行するのは、異常である。日本を代表するメガバンクの株が大きく売り込まれたのは、金融行政の失態の結果だ。
竹中プランは、銀行に厳しい対応を迫っている。米国流の会計基準を導入する半面、不良債権の無税償却や銀行欠損の繰り越し控除、繰り戻し還付などは米国流の手厚い扱いは先送りされそうだ。
強硬策一辺倒の姿勢では、銀行株が売りたたかれるのも無理はない。
不良債権問題はデフレの原因ではなく結果である。だが、補正予算などのデフレ対策の具体化は遅れたままだ。
竹中氏らが、デフレや不況は経済の新陳代謝を促すものとし、財政・金融面からの刺激策は、むしろ調整のプロセスを阻害すると考えているなら、危険な「清算主義」といわざるを得ない。
市場が“凶暴性”を発揮しないうちに現実的な不良債権処理策と、効果的なマクロ政策を固めるべきだ。
(11月18日22:13)
http://www.yomiuri.co.jp/08/20021118ig90.htm