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「団塊の世代」の退職金、自治体の懐ピンチ 本社調査
全国の47都道府県と12政令指定市のうち、「団塊の世代」といわれる55歳から52歳の職員が退職を迎えた際の退職手当を「問題なく支給できる」と見込むのは28自治体しかないことが朝日新聞社の調査で分かった。民間に比べて退職手当を積み立てずに毎年の予算から支給している自治体が多いうえ、近年の税収減などが追い打ちをかけている。この世代の給与はいまも自治体財政を圧迫しているが、今後、税収が大幅に回復するなどしない限り、現行の規定通りの退職手当を支払うことができない自治体が続出するのは必至で、退職手当引き下げも含めた議論は避けられそうにない。
01年度末日の年齢別職員数と今後10年間の退職手当の支給見通しなどをアンケートした。一般行政部門を対象にし、原則として警察官と教員は除いた。
職員数では47〜49年のベビーブーム時に生まれた団塊世代は約7万3000人。また、50代前半に年齢別のピークがある自治体が43自治体あった。
この世代は人口が多いうえ、「高度経済成長期に増加した行政需要に対応するために採用が多かった」(神奈川県など)ことが影響したという。「政令指定市移行に伴う大量採用」(札幌市)のほか、「日本への復帰後、行政需要増による大量採用」(沖縄県)など地域事情が重なった所も多い。
今後10年間の退職手当の年度別の支給額は、15自治体で06年度、37自治体で07年度に従来の数割増しから2倍近くに膨らみ始めると見込まれた。支給見通しを「従来通り支給できる」「支給見通しは不透明」「検討していない」などの選択式で尋ねたところ、「従来通り支給できる」と答えたのは28自治体。
このうち、対策をとったので支給できるとしたのは「負担の平準化を図り早期退職特例措置を実施中」(静岡県、札幌市)、「01年3月に退職手当基金を設置」(高知県)の3自治体。名古屋市は支給できるとしたうえで「今後も給与の引き下げなどを検討する」と答えた。
逆に「支給見通しは不透明」と答えた16自治体のうち、早期退職特例措置などを講じたものの不透明と答えたのが神奈川県、千葉県、埼玉県、岐阜県、京都府、滋賀県、川崎市の7自治体。横浜市や福岡県も同措置をとったが「財源が確保できていないので対策済みとはいえない」(福岡県)などと答えた。岐阜県は01〜03年度の時限措置で早期退職を促しているが「十分な財源が確保できたか不透明」と回答した。
東京都は53歳が約3200人いるが「条例に基づいて予算計上する。しかし、都財政は巨額の財源不足が見込まれており財政再建に取り組む」とだけ回答した。53歳が874人いる大阪府も「行財政計画に織り込み済みだが、今後の府税収入など流動的な要素があり見極めたい」と答えるにとどまった。
退職手当は、各自治体が条例の規定に基づいて支給してきた。東京都の01年度の定年退職者等の退職手当の平均額は約2900万円、大阪府の一般退職を含む平均手当額は約2600万円などとなっている。多くの自治体が職員の退職用に税金を積み立てるのは住民の理解を得にくいなどとして毎年の予算で計上、支給してきた。千葉県は74年に手当基金条例を作ったが積立金はない。「税収が好調な時に積んでおく財政調整基金でまかなうはずだったが、税収減でこれも98年度末にゼロになった」という。
07年度に教員や警察官も含んだ退職手当額を約1千億円と推計する神奈川県は有識者による懇話会を設け、退職手当の分割支給、年金化に触れた意見書を9月にまとめた。しかし、県側は「退職金は労働基準法で現金一括支給という大原則があり実現は難しい」と見ている。
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<総務省給与能率推進室の話> 国家公務員については現在、退職手当の引き下げを検討中だ。各自治体には、大変なことになるので退職手当の算定のもととなる給与の適正化や、職員の年齢構成に対応した早期退職による支給の平準化を前々から助言してきた。退職手当のために住民サービスを落とすわけにはいかないので各自治体には対策を急いでほしい。分割支給や年金化は税制が絡むうえ、退職者が了解するかどうか分からず難しい。
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<団塊の世代> 1940年代初頭に220万人ほどだった日本の年間出生数は戦争終結後の47〜49年に260万人台を記録した(01年の出生数は約117万人)。この第1次ベビーブーム期に生まれた世代を76年、作家の堺屋太一氏が「団塊の世代」と名付けた。この世代は日本の高度成長を支える原動力となったが、バブル経済崩壊後は終身雇用型から競争型への雇用環境の変化の中でリストラにさらされてもいる。 (03:04)
http://www.asahi.com/national/update/1119/002.html