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米に忍び寄る逆資産効果――日経金融新聞スクランブル
IBMが6日、一通の書類を米証券取引委員会(SEC)に提出した 。1930万株(発行済み株式数の1.14%)の自社株を確定給付型年金基金の積み立て不足を埋めるため拠出する可能性があり、基金が手にしたI BM株を随時、売却する可能性を開示する内容だった。同社が拠出するかもしれない自社株1930万株は最近の時価ではじくとざっと15億ドル相当。年金負担や株式需給への懸念から、書類を出した翌7日の米市場でIBM株は3%超下げた。
14日にはハネウエル株が8%安と急落した。SECに提出した四半期決算書で、年金基金への追加拠出や年金費用が膨らむ見通しを開示したことが売り材料とされた。米市場で企業年金の運用状況が大きな注目を集めている。株安で年金資産が目減りし、積み立て不足に陥る例が増えてきたためだ。
関心の高まりを受け、フォード・モーターは14日、年金に関する投資家説明会を開催。1―10月で米国の確定給付型年金の運用利回りがマイ ナス11.5%となり、このままの状態が続くと年末には積立不足額は62億ドルにのぼることを明らかにした。
企業が運用の責任を負う確定給付型年金では運用成績が改善しない限り、いずれは企業が不足分を穴埋めする義務を負う。しかし米会計基準では年金の積立不足額は貸借対照表に完全に反映されているわけではない。一種の簿外債務になっており、投資家の年金債務への警戒心は強い。
ゴールドマン・サックスのエコノミスト、J・ハチウス氏は米労働省 の統計を分析、米企業は現状で年間400億ドルを確定給付型年金に拠出し ているが、将来の給付に備えるためには年間拠出を1200億ドルに増やす必要があると試算する。厳しい経営環境が続くなか、企業は年金への拠出を賄うため、設備投資を絞る可能性が高い。同氏は「年同金基金を経路とし、逆資産効果が今後、数年にわたり企業の投資活動を抑制する可能性がある」と指摘する。
株安が年金資産を侵食し、その結果として企業が設備投資を抑制して景気回復ペースが遅れ、再び株安につながるという悪循環の懸念が浮かび上がる。米国の年金会計基準では、思いがけない会計処理が起きる点も見逃せない。
ボーイングは10月中旬の四半期決算の説明会で、10―12月期に貸借対照表の株主資本を最大で40億ドル減額する可能性を明らかにした。9月末の株主資本は109億ドルだった。年金の積み立て不足が一定の水準を超えると、株主資本を減額する処理を迫られるからだ。スリーエム (3M)も同四半期に10億ドルの株主資本を減額する見通しを明らかにしている。
この年金債務に絡む会計処理は期間損益や現金収支に影響しないものの、株主資本が突然目減りする事態は無視できない。収益実態とは関係なく、株主資本利益率が急上昇する企業が今後は相次ぐとみられる。債券の格付けへの影響も懸念される。
米会計基準のもとでは、年金資産の運用収益が企業の期間損益を底上げするという奇妙な現象も起きていた。
1990年代の株高を追い風に、計上が必要な年金費用を上回る運用収益を上げたおかげで、米企業の多くは年金資産の運用益の一部を期間損益に取り込んできた。
メリルリンチの試算では、米主要500社の2001年度の一株利益はこの年金収益を
除くと、発表ベースに比べ6%減るという。
株高で年金資産の運用利回りが上がれば、それにつれて企業業績も伸びるという
仕組みが90年代の米企業には組み込まれていた。
株安を受けて今後は年金収益による利益底上げ効果が消える。
株安は年金資産を目減りさせて企業に追加拠出という資金負担を迫るとともに、
運用成績の悪化に伴う年金費用の増加という形で企業収益を圧迫する。こうした
株安の負の連鎖が、米株式相場の頭を抑える一因になりつつある。(ニューヨー
ク=三反園哲治)
l イラク攻撃、「避けられぬ」との見方大勢――年末避け1月説も
NAA 8193 : 2002/11/18月曜日07:25
【NQNニューヨーク=遠藤大義】米軍による対イラク攻撃懸念が強
まってい
る。国連はイラクの大量破壊兵器に対する査察を27日から再開すること
を決め、向こう2カ月間にヤマ場を迎える。米市場では「軍事衝突は避
けられない」との見方が大勢で、10月9日を底に回復基調にある米国株
式相場の上値を抑えそうだ。
査察団の先遣隊は18日にバグダッドに入り、査察開始後60日以内の20
03年1月下旬までに国連安全保障理事会に報告書を提出する予定だ。そ
の間の重要日程は12月8日。同日までにイラクが大量破壊兵器の開発計
画を申告する期限だからだ。イラクが虚偽の申告をしたり査察を妨害し
た場合、武力行使の根拠になるとの見方が多い。
仮に査察妨害や虚偽申告が発覚しても、米軍などが攻撃に踏み切るの
は年内ではなく、来年1月とみる関係者も少なくない。もし年内に攻撃
を開始するとクリスマス商戦に響くからだ。感謝祭翌日からクリスマス
イブ(今年は11月29日から12月24日)は米国小売業界の最大の書き入れ
時。戦争を報じるテレビを見ていて買い物に出ない「CNN効果」で購
買力が低下したら、減速懸念の強まる景気が失速しかねない。
ただ「3月になると砂嵐が激しいうえ重装備での戦闘が難しい気候に
なる」との見方が多く、「来年1月までに攻撃しない場合、来秋以降に
先送りされる」との読みも出ている。査察開始から2月まで要注意の状
況が続きそうだ。
クリスマス商戦時期を外しても戦争が始まれば、対米テロに対する警
戒感も強まりショッピングモールなどへの人出が減るのは必至。米国軍
に被害が出れば、消費者心理の一段の悪化は避けられそうにない。設備
投資や雇用計画への悪影響も予想される。また市場心理と並んで原油価
格が上昇するかどうかも米景気の鍵を握る。
株式相場は歴史的に11月半ばから年末にかけては好調な季節とされる
。年明け攻撃開始となれば、反動が一気に起きるかもしれない。個別株
では「戦争が始まれば自宅から注文できるインターネット販売のアマゾ
ン・ドット・コムやヤフーなどの株が狙い目」との声もあるが、投資家
の安全志向が相場に影を落としそうだ。
クイックより