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(回答先: 真のBSE感染源隠しのため対策費を乱用する農水省の罪 投稿者 心配性 日時 2003 年 2 月 26 日 17:38:38)
週刊ダイヤモンド2003年2月22日号新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 482
「真のBSE感染源隠しのため対策費を乱用する農水省の罪」 櫻井よし子
http://www.yoshiko-sakurai.jp/works/works_diamond_030222.html
「日本は農場でBSE(牛海綿状脳症)が発見される段階に入りました。それを示してい
るのが、6頭目とされた和歌山県の牛です」ウイリアムマイナー農業研究所代表の伊藤
紘一氏はこう述べた。日本では、2001年9月にBSE感染牛の最初のケースが発見され、
今年1月末までに計7頭の感染が明らかにされた。7頭すべてが乳牛で、1995年12月5日
〜96年4月4日に生まれ、これまた全頭が「ミルフードAスーパー」という代用乳で育っ
ている。
BSEの潜伏期間は2〜8年である。7頭と同時期に生まれ、同じ代用乳で感染した牛が存
在すれば、感染から8年目に入る2003年には全頭がBSEを発症する。伊藤氏は、その結
果、従来のように牛の脳の病理所見によらなくても、農場で判別できる明らかな症状
の牛が出てくるというのだ。
「6頭目の牛は、病理所見がかなり進行していました。病理組織を切ってパラフィン加
工し、薄く切り、染色して観察する場合、スポンジ状の穴ができるほど症状が進んで
いれば、普通染色ですぐに分かります。
まだ穴ができていない場合は、特殊染色のヘマトキシン・エオジン染色法で確認しま
す。この方法なら、解剖学的変化を示していないケースもはっきり見ることができま
す。それでもダメなときは、抗原抗体反応を利用してBSE感染の有無を調べるのです」
6頭目以外は普通染色では病変が確認できず、特殊染色でようやく確認できた。だが6
頭目は、スポンジ状の穴が明確に普通染色で確認できた。感染から8年たったと思われ
る今、牛たちの病状は進みつつあるということだ。
ここまできても、日本のBSE感染源の究明は、進んでいない。というより、農水省には
感染源を特定する気がないのである。
前述のように、7頭の共通点は「ミルフードAスーパー」という代用乳だ。これは全農
の100パーセント子会社の科学飼料研究所高崎工場で製造されたもので、母牛の乳の代
用乳として、7頭全頭が生後すぐに与えられていた。
農水省は、BSEの感染源は肉骨粉だと事実上特定し、肉骨粉を飼料として牛に与えた農
家152軒と彼らの牛を、厳しい監視下に置き続けている。にもかかわらず、7件のBSEは
肉骨粉ではなく、「ミルフードAスーパー」を与えられた牛から出ているのだ。疫学的
に考えれば、感染源は、肉骨粉よりむしろ「ミルフードAスーパー」であると言わざる
を得ない。
代用乳は全国の酪農家で広く使われており、繰り返すが、感染原因として浮上したの
は、全農の100パーセント子会社の製品だ。強力な圧力団体だからか、ここに調査のメ
スを入れることに、農水省側は明らかに躊躇している。
農水省が真の感染源を特定したくないと考えているのは、病死した牛の検査を全く行
っていないことからも明らかだ。死亡牛は、ずっと検査なしで処分し続けているのだ。
今年4月から死亡牛の検査を始めると言っているが、それまでに疑惑の表れる牛は早く
処分せよ、という政策なのだ。
死亡牛に占めるBSE感染牛の割合は、健康牛に占める割合に較べてアイルランドでは6
8倍、フランスでは23倍、EU全体では約30倍である。
高率で感染牛が見つかる死亡牛を故意に闇から闇に葬り、全農系統の飼料に調査のメ
スを入れようとせず、農水省はひたすら対策費を使うのみだ。2001年度の日本のBSE対
策費は1500億円あまり、18万頭の感染牛を出した英国の約2倍だそうだ。農場で幾頭か、
BSEの牛が隠しようもなく現れようとしているときに、日本の対策費は原因隠しのため
に使われているといってよい。この国の統治能力の凋落を実感せざるを得ないのだ。
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