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(回答先: おしえて下さい。 投稿者 中2 日時 2003 年 2 月 26 日 23:25:15)
中2さん、こんばんわ。
「貨幣価値と物価は反比例する」というのは理解されているので、貨幣価値と株価は反比例するのか?貨幣価値と海外為替相場について簡単に説明します。
● 貨幣価値と株価
株式市場における株価だと話が複雑になるので、貨幣価値(デフレ・インフレ)との関係に絞った説明をします。
そのため、株価を規定する大きな要因であるフロー(利益)や配当率は省略します。
結論的に言えば、デフレ(貨幣価値上昇)は株価の下落につながり、インフレ(貨幣価値下落)は株価の上昇につながります。
株式は対象企業の分割所有権ですから、株式の価格は、その企業の純資産に規定されます。
現実には存在しませんが、純資産がすべて現金及び預貯金である企業の場合は、貨幣価値の変動が株価に影響を与えることはありません。
(100億円の純資産は購買力に関わらず100億円ですから、総株数が1億株であれば、いつでも1株100円になります)
しかし、現実に存在する企業は、債務は現金だとしても、資産は不動産・設備などの財によって多く占められています。
資産額といっても、所有している財の現在評価価格の総和が資産額の相当部分を占めているということです。
デフレは財の価格が下落することですから、過去に購入して所有している財の現在評価価格も下がることを意味します。
不動産価格を考えるとわかりやすいと思いますが、生産設備も、3年前に10億円で買ったものが9億円になっていたりします。
デフレ状況では、財としての働きは同じでも、3年前に100億円であった純資産額が95億円になります。
株数が同じ1億株であれば、3年前の株価は100円で、現在の株価は95円ということになります。
この関連でデフレが経済に悪影響を与える問題を考えると、
(1)資産額は目減りするのに債務額は目減りしないこと
デフレから生じる売上額減のため利払いや元本返済が借り入れ時の予測通りにはできなくなり、破綻して手持ち資産を売却しても返済ができないということになります。
(2)期待売上額に基づいて設備投資したのに物価下落でそれが実現しないこと
1個1000円で販売できる予定で設備投資したのに1個900円でしか売れなくなると、利益が出なくなったりします。
(3)お金を財に替えるタイミングはできるだけ遅いほうが有利なこと
デフレは、お金を財に替えて事業を行う意欲を減退させます。
1億円で仕入れを行っても、物価下落で9千5百万円しか売上が達成できないのなら、そのままお金で持っているほうが得だからです。
● 貨幣価値と海外為替相場
この問題も、貨幣価値に限定するために、資本移動の方向性・利子率差異・投機といった別の為替変動要因は除外して説明します。
二つの国民経済が関わってくる問題で、例えば日本と米国の貨幣価値変動がどうなのかを考えなければなりません。
結論的に言えば、よりデフレ率が高いほうの通貨が高くなり、よりインフレ率が高いほうの通貨が安くなります。
例えば、日本と米国がまったく同じデザイン・性能の自動車を生産しているとします。
(話を簡略にするために、自動車が生産される財のすべてとし、輸送費などの経費は0とします)
日本ではその自動車が100万円で販売されており、米国では1万ドルで販売されているとします。
この場合、1ドル=100円になります。
3年後に、日本の自動車が95万円になり、米国は1万ドルのままだとすると、為替レートは、1ドル=95円になります。
このことから、貨幣価値変動と言う要因だけに絞れば、日本はデフレが続き米国は低いながらもインフレできたわけですから、円高ドル安になるのが自然です。
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