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(回答先: Re: 有力国際金融家の源流 投稿者 ナカライ 日時 2003 年 2 月 10 日 18:03:09)
ナラカイさん、こんにちわ。
書いた内容は長年にわたっただらだらと読み考えながらまとまってきたイメージなので、これというかたちで参考書籍をピックアップすることはできませんが、思いつくまま現在でも容易に入手できると思われるものを紹介します。
通史的なおさえとして「世界史概観 上」(H.G.ウェルズ・岩波新書)を読んでおくと、脈絡がとらえやすいかもしれません。(紀元後ローマ帝国の非ローマ人皇帝の出現など、けっこう面白いネタも取り上げています)
● 『人類最古の文明の源流 シュメール』(H.ウーリッヒ著/アリアドネ企画)
● 『消えた古代文明都市 バビロニア』(P.アイゼレ著/アリアドネ企画)
※ 上記二つは、「アリアドネ古代史スペクタル」というシリーズに含まれているものです。ネーミングや装丁はお手軽実用書っぽいのですが、エジプトからアッチラそしてムハンマドまであり、どれもハイレベルで面白いものです。
中東及び地中海地域の古代史は、白水社の「文庫クセジュ」に独特な視点で書かれた面白いものがあります。(ほとんどがフランス語版の翻訳です)
カルタゴについても、文庫クセジュの『カルタゴ』と『ポニエ戦争』がお勧めです。
『原始キリスト教』などキリスト教関係も、コンパクトながら内容が濃いものがあります。
余談ですが、「フェニキア→カルタゴ→ヴェネチア・・・」という流れは、フェニキア人が好んだ地理特性にも窺い知ることができます。
「レヴァント沿海部で最初に混乱から抜けだしたフェニキア都市はチュロスだった。カルメル山の北おおよそ五十キロメートル。本土から数百メートルしか離れていない島に造られた都市である。こういう場所の設定をフェニキア人は好み、のちのカルタゴやモティエも例外ではなかった。」(『カルタゴ興亡史』松谷健二著・白水社P.14)
この書籍ではヴェネチアのことは触れられていませんが、ヴェネチアも、まさに書かれているフェニキア人好みの場所に造られた都市です。
カルタゴとヴェネチアは、地理特性・経済基盤(海運国際商業)・統治形態(貴族共和制)・軍隊(傭兵)などできわめて類似的で、大きく異なるのは宗教だけといってもいいくらいです。
このようなことから、ローマ帝国でのキリスト教布教は、ポエニ戦争でローマに敗れた旧カルタゴ商人や直前にローマによって亡国の憂き目に合ったユダヤ人の一部が非軍事的手段でローマ帝国支配層に対抗するために行った運動だったのではなかったのかと“妄想”しています。