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・「グローバルマーケットを読む」
昨日の英国日刊紙Ｔｈｅ Ｔｉｍｅｓに不気味な記事が載っていました。北イラ
クで取材している特派員の報告ですが、イラクは自国の油田に火をつけて炎の壁
を造り、それでアメリカ軍に対抗するという作戦を取りそうだ、という取材レポ
ートです。イラク国内にある西側筋の情報ソースとキルクークから脱出して来て
いるクルド人の話しを総合して記事にしています。
「２週間ほど前にイラクで４番目に大きいキルクーク油田で、ある油井の爆発が
あった。イラク当局は『正体不明の扇動家のしわざ』という説明をしていたが、
（イラク国内のスレイマニヤにある西側筋のニュースソースによれば、イラク軍
が油井にしかけた起爆装置が誤作動を起こしたらしい。
昨日の段階で爆破された油井の煙は依然として上空を覆って北の方向に流れてい
た。
同ソースによれば『１２年前にもイラクは同じ仕掛けをクウェート油田に仕掛け
ており、攻撃される前の彼らの常套手段だ。油田を爆破して敵が近づけないよう
にする作戦だ。爆破されたクウェート油田の場合、火を消し止めるのに９ヶ月か
かっている。』
キルクークから逃れてきたあるクルド人によれば、『キルクーク市の周りには運
河が造られ石油が流し込まれている。その周りには起爆装置が置かれていた。』
と言う事らしい。『市内はイラク軍が結集しており、装甲車やガソリンのタンク
ローリーがいっぱいだ。』
『十字路という十字路には丸い穴をあけ、石油タンクを埋めこんでいた。また、
長い溝を掘って石油を流し込んだりもしている。』という談話も取れている。
「また、これも逃れて来ている他のクルド人によれば、『石油の運河は防御用だ。
アメリカ軍が空爆を始める直前に燃してあたり一面煙が立ちこめることになれば、
空爆ができなくなる、という作戦かもしれない。
１００メートル置きにサンドバッグが積まれているし、幹線道路に沿ってイラク
軍は地雷を埋め込んでいる』ようだ。」
という内容の記事です。これまで、イラクは攻撃されれば油田を爆破するのでは
ないかという観測が度々流され、その度ごとにイラク政府は「それを否定」して
きましたが、まさに火の無いところに煙は立たない、と言うことのようです。ア
メリカ軍の攻撃が始まれば、イラクの原油輸出２００万バレルがストップするだ
けでなく、かなり長期間原油生産が落ち込みそうです。
さて、話し変わりますが、１１日火曜日にジュネーブでＯＰＥＣ（石油輸出国機
構）の総会が開かれましたが、現行の生産量（イラク除きで）日糧２４５０万バ
レルを据え置くことを決定しました。
ただし、戦争が始まればＯＰＥＣは（非公式ながら）増産処置をとる予定のよう
です。しかし、一説によるとＯＰＥＣには増産余力が残っていない可能性もあり
ます。アメリカ政府は戦争が始まれば、米国の戦略備蓄を放出する予定であると
の発表を行いました。
これらのニュースを受けて原油価格はバレル当たり約５０セント下げて火曜日の
マーケットは終了しました。ただし、しばらく続いたアメリカの寒波が遠のいて
暴騰していた石油製品が暴落した割には下げ幅の少ない原油マーケットでした。
昨日は１ドル以上暴騰しています。
やはり、戦争後も原油は上昇して行くのでしょうか？
「ＷＩＮグローバル・トレーダー・レポート」Mar 13 2003 No.127 号より）
（２００３年３月１３日）
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。